半導体100%関税政策 NVIDIAへの影響は?
先週6日、トランプ大統領が半導体への100%関税計画を発表しました。NVIDIAやAMDなど主要企業への影響が懸念される中、11日には両社が対中半導体収入の15%を米政府に納付することで合意。同日、大統領は対中関税の一部を90日間再延期する大統領令にも署名しました。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)
目次
トランプ大統領の半導体関税政策
背景に米中半導体生産シェア
半導体業界への影響と主要企業の対応
TSMCとサムスン電子の投資戦略
NVIDIAが直面する課題
TSMCとNVIDIAの現在の製造体制
NVIDIAの5000億ドル投資計画
まとめ
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トランプ大統領の半導体関税政策
トランプ大統領は先週8月6日、アップルのティム・クックCEOとの会談の場で、海外から米国に輸入される半導体に対して約100%の関税を課すと発表しました。この発表は、アップルによる1000億ドル規模の米国内追加投資計画の発表と同時に行われました。
重要なのはこの政策に設けられた例外規定です。「米国内で生産しているか、疑いなく国内生産を約束している企業については、一切の課税を行わない」という条件により、米国への投資を約束する企業には優遇措置が与えられます。
さらに「たとえまだ生産を開始していなくても、大規模な雇用や施設の建設といった意味で建設中であれば、課税はしない」と説明されており、米国への製造業回帰を促進する戦略的な政策であることが明確です。
背景に米中半導体生産シェア
この背景には、米中の半導体生産シェアの劇的な変化があります。米国国立標準技術研究所(NIST)のデータによると、1990年における米国の世界半導体生産シェアは37%でしたが、2020年には12%まで低下し、2030年には10%まで落ち込むと予測されています。
一方、中国の半導体生産シェアは1990年の0%から2020年には15%に急成長し、2025年には24%まで拡大すると予測されています。この逆転現象は、習近平政権のハイテク国家戦略「中国製造2025」の成果であり、米国の危機感を高める要因となっています。
半導体業界への影響と主要企業の対応
関税政策発表を受けて、世界の半導体関連企業の株価は大きく動きました。発表翌日の8月7日、台湾積体電路製造(TSMC)と韓国のサムスン電子の株価は一時5%上昇しました。100%という高い関税率にもかかわらず、両社が既に米国内での大規模な投資計画を発表しており、関税の適用除外を受けられる可能性が高いと市場が判断したためです。
TSMCとサムスン電子の投資戦略
TSMCは2025年3月に米国への投資額を1000億ドル増額し、合計1650億ドルにすると発表していました。同社はアリゾナ州に稼働中の工場を有しており、エヌビディアやAMDなどの企業が、このアリゾナ工場からの調達にコミットしています。
そのため、NVIDIAとAMDの株価も上昇しました。
NVIDIAの過去5日間の株価
NVIDIAが直面する課題
NVIDIAは11日、NVIDIAとAMDが人工知能(AI)に使用される先端半導体の中国向け販売から得る売上高の15%を米政府に支払うことに合意したと報じらました(NVIDIAの「H20」やAMDの「MI308」などの製品が対象)
つまり米国内で多額の投資を行い、調達の現地化に取り組むと表明したわけです。しかし依然として世界中に広がる複雑なサプライチェーンの一部であり、それを容易に米国内へ移転・再構築することは困難な状況と言わざるをえません。
TSMCとNVIDIAの現在の製造体制
現在のNVIDIAのGPU製造体制を見ると、関税回避の困難さが浮き彫りになります。NVIDIAが回路設計を行い、台湾のTSMCが前工程および後工程の双方を担当しています。
後工程では、TSMCが開発したCoWoS(Chip on Wafer on Substrate)と呼ばれる高度なパッケージング技術が適用されています。そして、このようにパッケージされたGPUは、中国にあるホンハイの工場に出荷され、サーバーに組み込まれた上で、米国へと輸出されています。
しかしこの製造体制では、完成したAIサーバーが中国から米国へ輸入されることから、米中間の相互関税として25%の追加関税が適用される可能性があります。さらに深刻なのは、AIサーバー自体が関税対象となるだけでなく、その構成要素の中で高い割合を占めるAI半導体としてのGPUの価値をベースに、追加的な課税が課される可能性があることです。この場合、サーバー全体に対して最大で100%の関税が適用される恐れがあります。
NVIDIAにとって最も深刻な課題の一つは、中国市場でのシェア低下です。同社のジェンスン・ファンCEOは、2025年5月20日に台湾で開催されたComputex 2025で、中国のAIチップ市場におけるNVIDIAのシェアが2022年の95%から、米国の輸出規制の影響を受けて2025年には約50%まで低下したことを明らかにしました。
背景には、中国企業による独自AI半導体の急速な発展があります。ムーアスレッズの「MTT S80」、ファーウェイの「Ascend 910C」などが中国市場で人気を博すようになっています。特に注目すべきは、中国のAIスタートアップ企業DeepSeekの成功です。
中国は「中国製造2025」戦略の下で半導体自給率の向上を図っており、2025年には世界の半導体生産シェアの24%を占めると予測されています。これは1990年の0%から劇的な成長を遂げたものです。一方、米国のシェアは1990年の37%から2025年には11%まで低下する見込みです。
NVIDIAの5000億ドル投資計画
注目すべきは、NVIDIAが今年4月に発表した投資計画です。同社は5000億ドルを投じて、GPUを搭載したAIサーバーをすべて米国内で製造可能とするプロジェクトを発表しています。この計画が実現すれば、100%の関税を回避できる可能性があります。しかし、その実現可能性には不透明な点も多く、トランプ関税の完全な回避は困難であると専門家は指摘しています。
まとめ
この半導体関税政策は、まだ多くの重要な事項が不明であり不確実性の高い状況が続いています。
特に重要なのは、関税の適用範囲です。100%の関税が半導体チップそのものだけに適用されるのか、半導体チップを搭載したあらゆる電子機器に適用されるのかという点は、業界全体に与える影響の規模を大きく左右します。
また、トランプ大統領は11日対中関税の一部を再び90日間延期するための大統領令に署名しました。これにより、11月上旬まで現在の累計30%の追加関税率を維持し、中国と貿易協議を続けることになります。
引き続き米中と半導体の関税政策に関して注視していく必要がありそうです。
参考文献
湯之上隆. (2025年8月12日). トランプ関税に勝者なし…回避は困難な「輸入半導体に100%の関税」、米国の半導体産業も巻き添えに. JBpress. https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/89904
Klimasinska, K., Lowenkron, H., & Lucey, C. (2025年8月7日). トランプ氏、半導体への100%関税賦課を表明-米に生産移転なら除外. Bloomberg. https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-08-06/T0LCZ6GOT0JL00
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