トランプ大統領とマスク氏対立 テスラ株は14%減
先週4日、ドナルド・トランプ大統領とイーロン・マスク氏の関係が急速に悪化しました。トランプ政権が推進する歳出法案をマスク氏が批判したことで、大きな対立ができました。テスラの株価は14%の下落となり、1530億ドル(約22兆円)が吹き飛ぶ事態になりました。
本記事では、米国投資アプリを運営するWoodstock経済部が
トランプ氏とマスク氏の対立の背景
きっかけとなった歳出法案とは?
今後はどう予想されてる?
などついてわかりやすく解説します。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)
目次
トランプ大統領とマスク氏対立。何があった?
テスラ社の株価は14%の大幅下落
マスク氏猛反対の歳出法案とは
新法案によって赤字拡大は免れない?
なぜ?マスク氏が不満を抱く理由とは最高権力者vs世界一の富豪の今後は?
トランプ大統領とマスク氏対立—何があった?
先週、蜜月関係とも言われたドナルド・トランプ大統領とイーロン・マスク氏の間で、激しい応酬が繰り広げられました。この対立の引き金となったのは、トランプ政権が推進する「歳出法案(One Big Beautiful Bill Act)」を、マスク氏がSNS上で批判したことです。マスク氏はこの法案について、X(旧Twitter、以下X)上で「バラマキだらけの言語道断な法案(a disgusting abomination)」と痛烈に批判。これにより、トランプ氏との関係は一気に緊張状態へと突入しました。
訳)申し訳ないが、もう我慢できない。
この巨大で、とんでもなく、利益誘導まみれの連邦議会の歳出法案は、吐き気を催すような忌まわしいものだ。
この法案に賛成票を投じた者たちに恥を知れと言いたい。自分たちが間違ったことをしたのは分かっているはずだ。
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訳)「私がいなければ、トランプは選挙に負けていただろうし、下院は民主党が掌握し、上院は共和党が51対49で多数派になっていただろう。」
「なんという恩知らずだ。」
マスク氏がDOGEを辞める際、トランプ氏とは良好な関係で終わる雰囲気を出していましたが、その後はX上でトランプ氏へのあからさまな攻撃を始め、しばらく応酬が続きました。
NBCニュースによると、トランプ大統領は「マスク氏との関係は終わった」と発言したとのことです。
テスラ社の株価は約14%の大幅下落
今回のトランプ大統領との対立の明確化によって、テスラの株価は14%の大幅下落を記録しました。
今回の株価下落により、マスク氏の個人資産から350億ドル(約5兆1000億円)が消失したと報じられています。これは、ブルームバーグ・ビリオネア指数の算出開始以来、過去2番目に大きな減少となりました。
マスク氏猛反対の歳出法案とは
新法案によって赤字拡大は免れない?
先月可決された「歳出法案」は、トランプ大統領が「大きくて美しい(One Big Beautiful Bill Act)」と称し、長年推進してきた税制・歳出に関する包括的な法案です。主な柱は、2017年に実施された減税措置の延長で、富裕層や企業にとって有利な内容が含まれています。また、国防費の増額や不法移民の大規模な国外追放のための予算も盛り込まれており、トランプ政権の優先政策を財政面から支える構成になっています。
一方で、この法案にはメディケイドや食料支援(SNAP)といった低所得者向けの福祉制度の大幅な削減も含まれており、民主党は「社会的弱者に深刻な打撃を与える」と強く批判しています。高齢者、障害者、子どもたちへの影響が特に懸念されています。
さらに、法案が財政赤字を拡大させるとの懸念も強まっており、議会予算局は米国の債務が5兆2000億ドルに達し、赤字が6000億ドル増えると試算しています。こうした状況を受けて、信用格付け会社ムーディーズは米国債の格付けを1段階引き下げました。
全体としてこの法案は、減税による経済刺激を狙う一方で、社会保障の縮小と財政負担の増大という大きな代償をともなっており、その是非をめぐって激しい政治的対立が続いています。
なぜ?マスク氏が不満を抱く理由とは
では、マスク氏はこの法案のどこに不満を抱いていたのでしょうか。報道によれば、マスク氏の周辺からは次の4点が反発の理由として挙げられています。
1. 政府効率化省(DOGE)の契約終了への不満
マスク氏が官職を持たないながらも主導し、政府の効率化を目指したとされる「DOGE(Department of Government Efficiency)」について、「期限切れとはいえ解除されたこと」に対する不満があったと報じられています。
2. スターリンクの航空管制権認可の不許可
マスク氏が経営する宇宙インターネット企業「スターリンク」に対し、航空管制システム管理権の認可が下りなかったことが理由の一つとして挙げられています。
3. 親しい実業家のNASA長官指名撤回
米航空宇宙局(NASA)長官に引き継ぐことになっていたマスク氏の友人、アイザックマンはその指名を撤回されました。この撤回理由は、アイザックマン氏が過去に民主党上院議員候補に選挙資金を出していたためだと報じられています。
4. EV関連企業の税額控除不採用
さらに、この法案にテスラを含むEV開発企業への税額控除が含まれなかったことが、マスク氏にとって実利面での不満となったとされています。
マスク氏は選挙戦時からトランプ氏への手厚い資金援助を行い、就任後もDOGEのトップとして政府予算削減をしようと動いてきました。しかし、自分の今後に振りとなり、さらに赤字を膨らませるかもしれない法案が可決されたとなれば黙ってはおけなかったのかもしれません。
最高権力者vs世界一の富豪の今後は?
今回の一連の争いは一度落ち着きを見せてはいるものの、アメリカ政府とテック業界に大きな溝ができたのは間違いありません。
マスク氏のこうした状況に対し、投資家からは懸念の声が上がっています。
ガーバー・カワサキ・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメントのロス・ガーバーCEOは、BloombergTVにて、マスク氏の言動が「マスク帝国のリアルタイムな崩壊」につながっており、氏が株主の利益にかなう行動をしていないと述べています。
ラッファー・テングラー・インベストメンツのナンシー・テングラーCIOは、投資家は成長を求めてテスラ株を保有しているのであり、「芝居がかった行い」のためではないと指摘。マスク氏に対し、言動を慎んで事業経営に集中するべきだと助言しています。
一方で、テングラー氏は「マスク氏は破滅寸前まで追い込まれては、土壇場で復活するという傾向がある」とも述べています。マスク氏はこれまでも長期にわたる苦境から立ち直ってきた経験があり、テスラは経営破綻の瀬戸際から世界最大のEVメーカーに成長した過去があります。
しかし、トランプ氏のような世界最強の影響力を持つ人物から報復を示唆される状況は、ブランド支持、売上高の低迷、そして法的・規制上のリスクの高まりという複合的な脅威をマスク氏にもたらしており、その影響はテスラの株価に如実に表れています。
両者の衝突は、単なる個人的な争いにとどまらず、政治・経済・テクノロジーの交差点で今後も波紋を広げていくことが予想されます。世界の注目が集まるこの対立の行方に、引き続き目が離せません。
参考文献
Bloomberg. (2025年6月6日). トランプ氏がマスク氏を非難、以前の厚い関係に変化か. Bloomberg. https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-06/SXFIWYDWRGG000
Bloomberg. (2025年6月6日). マスク氏、トランプ氏の再選支持せず─かつての盟友に距離. Bloomberg. https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-06/SXG504DWX2PS00
The Economist. (2025年6月6日). Trump and Musk’s bromance has turned to hate. What happens next? The Economist. https://www.economist.com/podcasts/2025/06/06/trump-and-musks-bromance-has-turned-to-hate-what-happens-next
BBCニュース. (2025年6月6日). マスク氏とトランプ氏の関係に亀裂、SNSや再選支持めぐり対立. BBC News Japan. https://www.bbc.com/japanese/articles/cvgn8m5e0epo
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