トランプ大統領 支持率伸び悩む 市場は混乱
トランプ政権の関税政策が二転三転し、米国国内のみならず世界の市場にも混乱をもたらしています。株価の乱高下や支持率にも影響を与えています。本記事では、トランプ政権とその支持率について、わかりやすく解説します。
先週、トランプ政権の関税政策が大きく揺れ動き、国内外の市場に混乱をもたらしました。S&P500やナスダックなど主要指数は一時下落しました。
本記事では、米国投資アプリを運営するWoodstock経済部が
トランプ関税はなぜ二転三転しているのか?
その影響で株価や市場はどう動いたのか?
トランプの支持率は高い?低い?
ということについてわかりやすく解説します。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)
目次
めまぐるしく変わる関税方針
発言は二転三転
なぜ発言撤回を繰り返すのか市場は混乱の最中
“予測不能”な発言に振り回される市場大統領支持率 多くの調査で5割以下
就任当初の50%を上回る調査はあまりない(2月中旬までの調査)
共和党支持層からも批判の声
DOGEのマスク氏に批判集まる不確実性を増すアメリカ
不確実性の高まりにどう向き合うか
めまぐるしく変わる関税方針
発言は二転三転
米トランプ政権は、メキシコやカナダ、中国など、さまざまな国々に対して追加関税を発動しようとするたびに、その方針を二転三転させています。
北米3か国(アメリカ・メキシコ・カナダ)をめぐる関税措置は、はじめは「25%関税を全面的にかける」といっていたにもかかわらず、翌日には「自動車は除外」、さらに翌日には「自動車以外の多くの品目も除外」というふうに、短期間で大きく変更されています。
カナダはこれを受けて「4日に発表したばかりの報復関税発動を当面延期する」と表明し、北米3か国間の応酬はいったん保留状態のようです。
こうした突然の方針転換が続くことで、アメリカ国内はもちろん、世界の株式市場や為替相場にも大きな混乱が生じています。
なぜ発言撤回を繰り返すのか
背景には、トランプ大統領の周辺で繰り広げられている「強硬派」と「融和派」の対立構造があります。強硬派の代表格とされるのが、ホワイトハウスの経済政策担当補佐官だったピーター・ナバロ氏です。彼は強硬な関税策を推し進めることで、海外からアメリカ国内への製造回帰を狙っていると言われています。
一方、融和派としては企業や産業界の声を重視する閣僚や高官がいます。彼ら融和派は、企業や農業団体などから寄せられる「関税の例外措置を求める声」に耳を傾け、関税負担で業績が悪化する懸念を少しでも和らげたいと考えています。
自動車業界や農業団体が各々の関連品目は除外してほしいと申し出ることで、その度対象品目や適用時期の変更が起きているのではないかという見方がでています。
このように、政権内部でのせめぎ合いによって、政府が打ち出す関税政策が連日変更される事態になっているとみられています。
市場は混乱の最中
“予測不能”な発言に振り回される市場
投資家にとって、政策がいつどのように変化するかわからないことほど不安要因はありません。「トランプ政権による関税政策の急な転換が市場を混乱させ、米株式市場は激しく乱高下している」と報じられています。
この株価の落ち込みに対し、トランプ大統領が「リセッション(景気後退)になるかどうかはわからない」「立て直す途中の過渡期だ」と曖昧な回答をしたことで、市場心理がさらに冷え込む結果にもつながっているようです。
また、商務長官のハワード・ラトニック(Howard Lutnick)は「リセッションにはならない」と強調する一方で「外国製品はいくらか高くなる」とも発言しており、物価上昇への懸念を明確に否定はしていません。
CNBCやCNNなど主要メディアの報道によると、ミシガン大学調査の消費者心理指数は1月から2月にかけて約10%下落し、Conference Boardの消費者信頼感指数も2021年8月以来最大の月間下落を記録しました。
また、Conference Boardの調査では「近い将来リセッションが起きると考える人の割合」が9か月ぶりの高水準に達した と報じられています。
予測がつかない米国市場、投資家心理的には「ひとまず売って様子を見よう」と言ったところでしょうか。
大統領支持率 多くの調査で5割以下
就任当初の50%を上回る調査はあまりない(2月中旬までの調査)
いくつかの世論調査によれば、一部を除きトランプ大統領の支持率は45〜48%の範囲に収まっており、過半数に届いていないようです。
以下は2月中旬から下旬にかけての支持率調査比較です。左から、「成人の不支持率」「成人の支持率」「登録有権者の不支持率」「登録有権者の支持率」となります。
就任当初(2025年1月21日頃)は、FiveThirtyEightの集計でおよそ49.7%の支持・41.5%の不支持(差し引き+8.2ポイント)でしたが、2月下旬には支持47.9%・不支持47.2%と、ほぼ拮抗する状況に落ち込んだとされています。
RealClearPoliticsの平均でも、当初は51.5%対43.0%[支持vs不支持](+8.5ポイント差)だったのが、3月に入ると48.4%対47.8%(+0.6ポイント)まで低下。ほかの世論調査でも「支持率が50%を超える」という結果は、しばしば共和党寄りとも言われるHarvard/Harrisの調査を除いてあまり見られません。
共和党支持層からも批判の声
さらにエコノミスト/ユーガブ(Economist/YouGov)の調査では、「トランプ大統領を強く支持する」と答えた人が30%ほどだったのに対し、「強く反対する」が37%に上ったというデータが紹介されており、反対派が強く大統領を拒否している構図が見てとれます。
他にも、ポスト/イプソス(Post/Ipsos)の調査でも、トランプ政権下での関税政策が「物価を押し上げるだけで有害」と考える層が59%に達し、共和党支持層の一部からも批判が出ていることが注目されます。
ゼレンスキー氏との衝突は支持率に影響するか
トランプ大統領の「ロシア寄り」とみなされる外交姿勢、そして先月はウクライナのゼレンスキー大統領との激しい衝突がありました。
2月28日以前の調査では、ロシア寄りの姿勢は共和党支持者の間でも不人気だったようです。
しかし、先日8日に「ロシアに制裁を加える」とトランプ氏は自身のSNSで投稿。ロシア寄りではなかったの?と疑問符がつきました。現時点でその真意はわかりませんが、「ロシア・ウクライナ戦争を終わらせる」という目的に対しては積極的なようです。
ちなみに、ウクライナ国民のゼレンスキー氏に対する支持率は衝突会見後にの67%に大幅増加を見せました。
DOGEのマスク氏に批判集まる
また、DOGE(政府効率化省)のイーロンマスク氏が大規模なリストラを断行し続けていることに対しても批判が高まっています。
CNNの調査では、「マスク氏を閣僚級の役割で登用したことを好ましく思わない」と答えた人が54%に上り、エコノミスト/ユーガブでは57%が「マスク氏が自身の企業利益のためにDOGEを利用しているのでは」と懸念しているとのことです。
6日の閣議では、ルビオ国務長官らがマスク氏の強引な手法に反発し、特に国務省や運輸省、退役軍人省の閣僚から強い批判が相次ぎました。トランプ大統領は「マスク氏の役割は勧告にとどまる」と明言し、事態の収拾を図りました。その一方で「DOGEは成功している」と評価し、マスク氏の影響力を一定程度維持する姿勢を示しました。ニューヨークタイムズは、これを「トランプ氏が初めてマスク氏の影響力を抑えようとした事例」と報じています。
こうした中、全米では「反マスク運動」が拡大し、政府の縮小政策や権限の乱用を批判する抗議活動が広がっています。特にマスク氏がCEOを務めるテスラの販売店では、数百人規模のデモが発生し、一部の参加者が警察に拘束される事態となりました。
抗議活動は全米80カ所以上で行われ、「マスク氏は選挙で選ばれていない」「民主主義を守れ」との声が上がっています。また、テスラ車への落書きや充電スタンドの放火など、抗議が過激化する場面も見られ、テスラの株価は最高値の半分近くまで下落しました。
マスク氏の強硬な改革路線が政権内外で反発を招く中、トランプ政権は今後どのような対応を取るのか、事態の行方が注目されています。
不確実性を増すアメリカ
関税政策が二転三転する状況は、財政赤字削減や雇用創出を目指すうえで、大統領が短期間に大きなインパクトを与えようとしている表れとも見られます。
「相手国に衝撃を与え、譲歩を引き出す」という外交・貿易交渉上の手法は珍しくありません。しかし、頻繁な方針変更は企業や投資家、さらには海外の政府の信頼を損ない、市場の先行き不透明感を増幅させる結果を招いているように思われます。
専門家は、短期的な経済ショックが長期的な景気後退や財政の混乱に波及しうる危惧をはっきり示しています。今回の株価の下落は、トランプ大統領の主張する「米国第一主義」がむしろアメリカ経済を圧迫しかねないことを浮き彫りにしており、支柱であった支持層の一部からも「本当にアメリカを豊かにできているのか」と疑問の声が上がっているようです。
不確実性の高まりにどう向き合うか
筆者個人としては、こうした“意表を突く”短期的な政策変更は、確かに初動で大きな注目や交渉上のアドバンテージを得やすい反面、あまりに連発すると信頼と政策の一貫性が損なわれるリスクが大きいのではないかと感じています。
とりわけ、株式市場や消費者マインドは「安定」と「予測可能性」を好むため、度重なる方針転換はネガティブな影響を与えやすいでしょう。結果として、企業が投資を控えたり、消費者が支出を抑えたりすれば、GDPの伸び悩みや景気後退につながり、支持率がさらに下落する悪循環に陥りかねません。
また、マスク氏率いるDOGEのように、政府組織を大胆に再編し、短期的にコスト削減を目指す発想は新しい試みと言えますが、国防や外交、インフラなど本来政府が担うべき基盤が脆弱化してしまう恐れもあります。特に国際社会でのアメリカの影響力が低下すれば、長期的に見て国内の安全保障や経済活動にも悪影響を及ぼす可能性があるのではないでしょうか。
とはいえ、もしトランプ大統領が“ショック療法”的な政策手段を何らかの成果につなげ、物価対策や雇用創出で目に見える改善を示すことができれば、支持率が回復に向かうシナリオもあり得るでしょう。
問題は、それを達成するためのプロセスや国際的な調整がどこまで円滑に行われるかです。現時点では、不透明感が拭えず、市場や世論の不安が大きくなっている印象です。
参考文献
NHKニュース. (2025年3月7日). トランプ大統領 マスク氏の権限に事実上の制限か. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250307/k10014742401000.htmlx.com+3x.com+3twitter.com+3
Olena Harmash. (2025年3月10日). ゼレンスキー氏支持率、67%に大幅上昇 トランプ氏と衝突後=調査. ロイター. https://jp.reuters.com/world/ukraine/UGIMRW67GRI7HDME7KVQJTMREY-2025-03-10/jp.reuters.com+1asahi.5ch.net+1
テレビ朝日ニュース. (2025年3月10日). ゼレンスキー大統領の支持率が上昇 トランプ大統領との会談後. https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000409938.htmljp.reuters.com+1asahi.5ch.net+1
日本経済新聞. (2025年3月8日). ウクライナ情勢:ゼレンスキー大統領の支持率が上昇. https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN080LP0Y5A300C2000000/
William A. Galston. (2017年3月2日). Trump's first 5 weeks in the polls. Brookings Institution. https://www.brookings.edu/articles/trumps-first-5-weeks-in-the-polls/
ジェトロ. (2025年2月25日). 就任1カ月のトランプ米大統領支持率52%、世論調査. https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/02/03fdeebb91b32015.html
Bloomberg News. (2025年3月9日). 米国務長官、マスク氏と投稿応酬のポーランド外相を非難. https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-09/SSVGFEDWX2PS00jp.reuters.com
BBC News. (2025年3月10日). 欧州の兵器輸入、過去4年間で急増 ウクライナが最大の輸入国. https://www.bbc.com/news/articles/cz61nn99eg1o
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