ジャクソンホール会議 パウエル議長 利下げを示唆
先週23日、米ジャクソンホール会議でFRBのパウエル議長が利下げの可能性を示唆しました。雇用の減速と高止まりするインフレを背景に、金融政策は転換点を迎えつつあります。この発言を受け米国株は全面高となり、市場は利下げ期待で盛り上がりました。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)
目次
パウエル議長 利下げを示唆
雇用は減少、インフレ率2%も達成できず
今後の利上げ・金融政策の見通し
市場が反応したセクターと個別株
とはいえまだまだわからない利下げ
先週23日、米ワイオミング州ジャクソンホールで毎年恒例の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が開催されました。世界各国の中央銀行関係者や経済専門家が集まるこの会合では、特に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演内容に世界中の投資家が注目されました。
今年の会議(8月23日頃)では、パウエル議長が任期中最後の基調講演に臨み、米国の金融政策が転換点に差し掛かっている可能性について言及しました。本稿では、パウエル議長の主な発言内容と今後の利上げ(利下げ)の見通し、そしてその発言を受けて米国株市場で大きく動いたセクターや個別銘柄について、初心者の方にもわかりやすくまとめます。
パウエル議長 利下げを示唆
パウエル議長はジャクソンホール会議での講演において、現在の経済状況に関する不透明な要因を複数挙げました。インフレ率が依然として目標の2%を上回り上昇傾向にある一方で、雇用市場には悪化の兆しが見られると指摘しています。こうした「インフレ」と「景気減速」の両リスクがせめぎ合う中で、FRBにとって難しい舵取りが続いている状況です。
その上でパウエル氏は、9月の次回FOMC(連邦公開市場委員会)会合で政策金利の引き下げに踏み切る可能性を慎重ながらも示唆しました。これは、物価上昇が続く懸念に配慮しつつも、雇用の弱さなど景気下振れリスクに対処する用意があることを意味します。
パウエル氏は「利下げに踏み切るかどうかは今後発表されるインフレ指標や雇用統計次第」と強調し、金融政策はあくまでデータに基づき判断するとの姿勢を貫いています。講演では「われわれはその方針から決して逸脱しない」と述べ、政治的な思惑ではなく経済データを拠り所にする方針を明言しました。
雇用は減少、インフレ率2%も達成できず
今回のジャクソンホール会議を理解するうえで参考になるのが、直近の雇用とインフレの推移です。下図は米国の非農業部門雇用者数(雇用の増加人数)と、FRBが重視するPCEコア価格指数(インフレ指標)の動きをまとめたものです。
左のグラフは雇用の変化を示しており、2022年から2023年にかけては毎月40万〜60万人規模の雇用増がありました。しかし2024年以降は増加ペースが鈍化し、今年の夏は限りなく下がっているのが見てとれ、労働市場の弱さが伺えます。
一方、右のグラフはインフレ率の変化を示しています。2022年には5%を超えていたインフレは、2024年にかけて急速に低下しましたが、2025年も2.5〜3%台で高止まりしており、FRBの目標である2%を下回るには至っていません。
つまり、「雇用は減速しているのに、インフレ率はまだ高い」という、金融政策上きわめて難しい局面にあることが分かります。FRBにとっては「利下げを急げばインフレが再燃するリスク」「逆に利上げを続ければ景気が冷え込むリスク」というジレンマを抱えているのです。今回のジャクソンホール会議でのパウエル議長の慎重な姿勢が表れていると言えます。
今後の利上げ・金融政策の見通し
そんな状況でのパウエル議長の利下げ示唆発言を受け、市場では「いよいよ利上げ局面が終わり、利下げに転じるのではないか」との見方が強まりました。
短期金融市場(FF金利先物)では9月のFOMCで利下げが実施される確率を90%近くまで織り込む動きとなり、発言前の約75%から大きく上昇しました。このことは、投資家が今後のFRB政策について“利上げ停止から利下げへ”という転換を強く意識し始めたことを示しています。
ただし、パウエル議長自身も強調したように、金融政策の行方は今後の経済指標次第です。インフレが思うように低下しなかったり、景気指標が再び強さを見せたりすれば、9月に必ずしも利下げが断行されるとは限りません。
また、FRB内部でも利下げのタイミングを巡って意見が分かれており、すんなりと大幅緩和に踏み切れる状況ではありません。
専門家の中には、「今回の利下げ示唆は歓迎すべき緩和転換だが、一回の利下げだけでは景気や市場に与える効果は限定的だ」と指摘する声もあります。
つまり、今後数カ月で発表されるインフレ率や雇用統計の結果次第では、たとえFRBが利下げを開始しても景気減速や企業業績悪化が続けば株価上昇は持続しない可能性があります。
市場が反応したセクターと個別株
パウエル議長のジャクソンホールでの発言を受け、8月22~23日の米国株式市場は大きく反発しました。主要な株価指数は軒並み上昇し、ダウ平均株価は過去最高値で取引を終えています。S&P500指数も約1.5%上昇し、直近5営業日の連続安から反転しました。ハイテク株中心のナスダック総合指数も約1.9%の上昇となり、投資家心理が一気にリスクオン(リスク資産を買う姿勢)に傾いたことがうかがえます。
特に、以下のセクターや銘柄が大きく動きました。
一般消費財セクター(Consumer Discretionary): S&P500の構成セクターの中で上昇率トップとなり、約3.2%上昇しました。景気敏感な小売・自動車・娯楽関連株が多く含まれるこのセクターは、金融緩和期待による個人消費の下支え期待から買われました。例えば、電気自動車メーカー大手のテスラ株は約6.2%の急伸となっています。
小型株: 小型株の代表的な指数であるラッセル2000は約4.1%も急騰し、年初来高値を更新しました。中小企業は借入金利の影響を受けやすいため、金利低下局面では業績改善が期待されやすいことが背景にあります。
住宅関連株: 住宅建設会社などで構成される住宅株指数(フィラデルフィア住宅指数)も約4.6%上昇しました。住宅ローン金利の低下期待から住宅販売が刺激されるとの見方で、住宅セクターが買われています。
ハイテク・半導体: 成長株であるハイテク企業群も総じて上昇しました。フィラデルフィア半導体指数は2.7%上昇し、前週まで下落基調だった大型ハイテク株(メガキャップ株)も軒並み反発しています。長期金利の低下は、将来の成長期待でバリュエーション(評価額)が左右されるハイテク・IT株にとって追い風です。
暗号資産関連株: 金融緩和への期待から投機性の高い資産にも資金が向かいました。米暗号資産取引所コインベースの株価は約6.5%急騰しています。利下げ観測によるドル安傾向でビットコインなど暗号資産相場が上昇するとの思惑から、関連銘柄にも買いが入りました。
以上のようにFRBの政策転換シグナルに敏感に反応し、S&P500採用の11セクター中10セクターが上昇するという全面高の展開となりました。特に金利低下の恩恵を受けやすい景気循環株や、資金調達コストに敏感な企業群が大きく買われた点が特徴です。市場全体としては「利下げ期待」によるポジティブなムードが勝った形です。
とはいえまだまだわからない利下げ
ジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言は、米国株式市場のみならず世界のマーケットに大きな影響を与えました。
利上げが止まり利下げに転じるという期待は、企業の資金調達コスト低下や景気下支えにつながるため株価に追い風となります。そのため今回、市場はこの発言を青信号と受け取り、大きな買いが入りました。
しかし同時に、楽観しすぎることへの注意も必要です。パウエル議長が指摘したように、今後の経済指標次第では政策判断が変わる可能性があり、インフレと景気の綱引きは続いています。専門家からは「景気停滞とインフレが同時進行するスタグフレーションのリスク」に言及もされています。
引き続きFRBや市場の指標に注視していく必要がありそうです。
参考文献
Bloomberg. (2025, August 25). パウエル発言に関する記事. Bloomberg. https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-08-25/T1IMV4GP9VDI00
Reuters. (2025, August 22). Powell fires up markets, some investors see reason for caution. Reuters. https://www.reuters.com/business/finance/powell-fires-up-markets-some-investors-see-reason-caution-2025-08-22/
Reuters. (2025, August 22). Dow notches record high, Wall Street cheers Powell’s speech. Reuters. https://www.reuters.com/business/dow-notches-record-high-wall-street-cheers-powells-speech-2025-08-22/
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