オンライン診療で注目! ヒムズ・アンド・ハーズ 株価下落の原因とは?
Hims & Hers(ヒムズ・アンド・ハーズ) はオンライン診療で急成長する米国のヘルスケア企業。肥満治療の需要増を追い風に株価が上昇させてきましたが、FDA(米国食品医薬品局)がセマグルチド(糖尿病・肥満治療薬)の供給不足解消を発表すると急落しました。本記事では、Himsについて、株価の今後についてわかりやすく解説します。
先週、オンライン診療やパーソナライズ医療を提供する Hims & Hers HIMS 0.00%↑ (以下、Hims)の株価が一時的に急上昇した後、急落に転じました。株価の変動率があまりに大きかったため、米国の投資家やアナリストの間では「ミーム株」としての側面も指摘されるほど注目を集めています。
本記事では、米国投資アプリを運営するWoodstock経済部が
Hims & Hersとはどんな企業なのか
なぜ急上昇から急落したのか
今後の株価予想
ということについてわかりやすく解説します。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)
目次
注目のヘルスケア企業Hims & Hers とは
1-1. オンライン医療プラットフォームの先駆け1-2. 垂直統合によるサプライチェーン強化
1-3.株価は順調に上昇してきた
株価は乱高下
19日に株価は急上昇一転して急落
3-1. FDA の供給不足解消発表
3-2. バリュエーションの高さと内部者売却今後の見通しとポイント
4-1. 注目される決算とガイダンス(25日朝)
4-2. 垂直統合と多角化戦略の行方
1. 注目のヘルスケア企業Hims & Hers とは
1-1. オンライン医療プラットフォームの先駆け
Hims は2017年にサンフランシスコで創業され、男性のED治療や脱毛など、直接対面しづらい領域のオンライン診療と処方薬の配送を提供したのが始まりです。SPAC特別買収目的会社)との合併を通じ、創業3年でニューヨーク証券取引所に上場を果たしました。上場時の評価額は16億ドル(約1660億円)にも上りました。
Hims は当初のオンライン診療サービスを基礎に、現在では女性向けブランド「Hers」も含め、米国を中心に幅広い健康問題をオンラインで解決するプラットフォームを構築しています。
利用者は、スマートフォンやパソコンを介して医師と相談・診療し、必要な処方薬が自宅に届くという仕組みによって、医療へのアクセスを飛躍的に向上させました。
特徴的なのは、「パーソナライズ医療」を強く意識している点です。ユーザーの症状やライフスタイルに合わせて最適な治療法を提案し、従来ならクリニックに通わなければ難しかった診療を、オンラインのやり取りだけで手軽に受けられる環境を整えています。
ミレニアル世代を中心に大きく支持されており、自己負担(キャッシュペイ)で保険を利用しない会員制を採用し、SNSや広告も活用してブランド力を高めてきました。
1-2. 垂直統合によるサプライチェーン強化
Hims は、自社での調剤・医薬品生産を進め、信頼性の向上を図っています。米国内の調剤施設(503A・503B)を買収・運営し、さらに2025年2月にはペプチド製造施設を獲得することで、供給網を垂直統合しています。これにより原料や製造工程をコントロールしやすくし、医薬品の安定供給や品質管理を高い水準で維持できるようにしています。将来的には、代謝改善や認知機能の向上、多角医療・ウェルネス分野に対応できる可能性を秘めています。
1-3.株価は順調に上昇してきた
肥満関連疾患が社会的課題として注目される中、Himsはオンライン診療を活用した肥満治療薬の提供を開始し、市場での存在感を高めました。2024年からの売上拡大や黒字化の進展も評価され、年初来で株価は約2倍に上昇しています。
特に、糖尿病・肥満治療薬「セマグルチド」の供給不足が追い風となりました。セマグルチドは血糖値のコントロールや食欲抑制を助けるとされるGLP-1受容体作動薬で、大手製薬会社が「Ozempic」や「Wegovy」として販売しています。
供給が追いつかない中、Himsは代替調剤薬を提供し、利用者を大きく取り込むことに成功しました。投資家は「不足が続く限りHimsの収益が拡大する」と見込み、株価上昇をさらに押し上げました。
2. 株価は乱高下
19日に株価は急上昇
Himsの株価は19日に急上昇しました。これには、二つの大きな買収発表が要因だと考えられます。
一つ目は、ニュージャージー州に拠点を置く自宅での検査サービスを提供する「Trybe Labs」の買収です。これにより、ユーザーは自宅で血液検査を受けることが可能になり、治療前のより詳細な検査ができるようになります。医師が患者ごとに最適な治療を行うための情報が増えることで、より質の高い医療が提供できると同社は考えています。
二つ目の買収は、カリフォルニア州のペプチド(タンパク質の一種)関連施設です。Hims & Hersは、健康や美容分野で注目されているペプチド技術を活用し、将来的なヘルスケア市場への展開を目指しています。ペプチド治療は特にフィットネスやウェルネスの分野で人気が高まっていますが、現時点では長期的な効果を裏付ける科学的証拠が十分とは言えません。それでも同社は、この技術を活かして予防医療や回復科学の分野に進出しようとしています。
Hims & Hersは昨年、GLP-1受容体作動薬(肥満治療薬)の販売を開始し、低価格の選択肢を提供する企業としての立ち位置を確立しようとしています。最近のスーパーボウル広告では、大手製薬会社が「利益のための価格設定をしている」と批判し、患者中心のヘルスケアを目指す姿勢を強調しました。
Trybe Labsの買収により、Hims & Hersは、LDLコレステロールやアポリポタンパク質などの血液検査項目を拡充するだけでなく、低テストステロン症や更年期サポートなどの治療領域を広げることができます。血液検査にはTasso社の専用デバイスが使われ、利用者は自宅で簡単に血液サンプルを採取できる仕組みになっています。このデータは治療計画の判断材料になるほか、AIを活用した医療技術の開発にも役立てられる予定です。
さらに、今回のペプチド関連施設の買収は、米国政府が海外の医薬品製造依存を減らそうとしている流れとも関連しています。Hims & Hersは、過去6年間でオハイオ州やアリゾナ州にも製造施設を取得しており、国内生産体制を強化していく予定とのことです。
3. 一転して急落
3-1. FDA の供給不足解消発表
しかし、21日アメリカ食品医薬品局(FDA)が「セマグルチド注射薬の供給不足が解消された」と発表し、今後コンパウンド薬に対する規制を強化する方針を打ち出したことで、Hims の株価は急落しました。これまでは不足を理由に合法的に提供できていた代替薬が、ブランド薬の供給回復により立場が不透明になる可能性が高まったのです。市場はこのニュースをネガティブに受け止め、Hims の株価は 1 日で 25%を超える下落を記録する事態となりました。
3-2. バリュエーションの高さと内部者売却
加えて、急上昇した株価水準そのものも疑問視されるようになりました。Hims の時価総額は100億ドル(1兆円超)に迫る規模とされる一方、売上は直近 12 億ドル程度、純利益は 1 億ドル程度との報道があり、株価収益率(PER)が100倍を超える“割高感”を指摘する声が増加。しかも、CEO や CFO といった経営陣が大口の株式売却を続けていた事実が判明し、「経営陣自身が株価を高いと判断しているのではないか」との思惑が広がり、株価急落に繋がりました。
4. 今後の見通しとポイント
4-1. 注目される決算とガイダンス(25日朝)
Hims は 日本時間2月25日午前6時頃に決算を予定しており、売上・利益共に過去のセマグルチド不足時期の恩恵で大幅な増収増益が見込まれています。
しかし市場が最も注目するのは、その後に発表されるガイダンス(通期予測)です。FDA が不足解消と規制強化を打ち出したことで、Hims がどの程度“セマグルチド頼み”の体質から脱却できるか、もしくは今後の肥満治療以外の分野での収益拡大を提示できるかが鍵となります。
4-2. 垂直統合と多角化戦略の行方
Hims は、ペプチド製造施設の買収や、既存の調剤施設を活用することで、将来的に肥満治療だけでなく、予防医療やメンタルヘルス、代謝サポートなど、幅広いヘルスケア領域に展開可能な下地を整えてつつあります。オンライン診療を活用し、ユーザーが検査・診療・薬の受け取りまで一貫した体験を得られるサービス設計は利便性が高く、パンデミックが過ぎ去った今後も需要が継続すると見る専門家も少なくありません。
自宅での検査サービスを提供する「Trybe Labs」での買収により、今後もオンライン診断事業を拡大していくことが予想されます。特定の薬剤に依存しすぎないビジネス構造を構築できるかが注目されます。
参考文献
Great Speculations. (2025, February 22). HIMS Earnings Preview: Will The Stock Rebound After 25% Drop? Forbes. https://www.forbes.com/sites/greatspeculations/2025/02/22/hims-earnings-preview-will-the-stock-rebound-after-25-drop/
Capoot, A. (2025, February 21). Hims & Hers Shares Fall After FDA Says Semaglutide No Longer in Shortage. CNBC. https://www.cnbc.com/2025/02/21/hims-hers-shares-fall-after-fda-says-semaglutide-no-longer-in-shortage.html
[YouTube Video] HIMS STOCK ANALYSIS: BUY OR SELL BEFORE EARNINGS!? (2025, February). Retrieved from
Gomez, B. (2025, February 19). Hims & Hers to Offer At-Home Blood Draws, Lab Testing with Trybe Deal. CNBC. https://www.cnbc.com/2025/02/19/hims-hers-to-offer-at-home-blood-draws-lab-testing-with-trybe-deal.html
Jennings, K. (2021, February 14). 医療D2Cの米Hims & Hersが上場 創業3年で評価額16億ドル. Forbes Japan. https://forbesjapan.com/articles/detail/39483
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