パランティア株価 好決算も急落
パランティアは最新決算で約60%成長と好調が続く一方、株価は発表直後に約18%急落しました。政府や大企業の中枢データをつなぎ、AIを実務にまで落とし込む力が評価される一方で、PER220倍級の“高期待”も重くのしかかりました。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)目次
“26万基超”の最先端AIチップで韓国のAI基盤を底上げ
政府×民間を貫く巨大データ基盤が強み
米政府の「奥深く」に入り込む存在へ
AI企業の「勝ち組モデル」と注目される理由
パランティア 期待の高まり強く下落へ
先週パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は、第3四半期決算(25年7〜9月期)で大幅な増収増益を達成し、市場予想も上回りました。四半期売上は約12億ドル規模に達し、成長率は約60%と「この時価総額帯の企業としては異例の加速」を続けています。生成AIブームの本命銘柄の一つとして、年初来で株価が大きく上昇してきた背景も、この成長トレンドにあります。
しかし、決算発表前に過去最高値圏まで買われた直後、株価は一時207ドル台から170ドル近辺まで約18%下落し、その週としても約11%安と急反落しました。業績は強いのになぜ株価は売られたのか。
その背景には、決算前の段階で「非常に高い期待」がすでに株価に織り込まれていたことに加え、好材料出尽くしによる利益確定売り、さらに空売り勢による圧力が重なった構図が指摘されています。
アナリスト21人によるアルファベットの評価は「中立」となっています(Benzinga)(*アナリスト評価は、特定の株式の取引を推奨するものではありません)。
アレックス・カープCEOは、この下落についてテレビインタビューで「空売り筋による市場操作だ」と強い言葉で批判しました。念頭にあるとみられているのが、「ビッグショート」で知られるマイケル・バリー氏率いるサイオン・アセット・マネジメントなど、同社株への空売りを公言した投資家です。
一方で、市場側も単なる「嫌がらせ」で売っているわけではありません。予想PERは約220倍とされ、エヌビディアやメタ・プラットフォームズの20倍台を大きく超え、テスラ並みの水準に達していると報じられています。著名な空売り投資家が「本来は40ドル程度が妥当」と主張してきた背景には、「急成長は認めるが、織り込み過ぎではないか」という警戒感があります。
直近決算を見れば、事業としての勢いは疑いようがありません。一方で、そのストーリーをどこまで価格で先取りしてよいのかという問いが、市場と経営陣の間でせめぎ合っている。そのギャップが、今回のような大きな値動きとなって表面化していると整理できます。
政府×民間を貫く巨大データ基盤が強み
ここで改めて、「パランティアは何をしている会社なのか」を具体的に見ていきましょう。
同社はピーター・ティール氏らによって2003年に創業され、当初はテロ対策や情報機関向けの分析など、安全保障分野に深く入り込むところから事業をスタートしました。その後、国防総省や諜報機関だけでなく、税務、社会保障、治安維持といった幅広い官公庁、さらに大企業のサプライチェーンや金融、医療分野へと対象を拡大しています。
パランティアの特徴は、「バラバラなデータを“業務で使える形”に再構成する基盤」を提供している点です。社内外のシステムに点在する在庫データ、取引履歴、顧客情報、リスクデータなどは、そのままでは担当者やAIが活用しにくく、専門エンジニアが個別対応しなければつながりません。
パランティアはここに「オントロジー」という考え方を用い、自動車、保険、医療、製造など業界を問わず、その組織にとって意味のある形でデータを整理・統合していきます。
例えば、サプライチェーンでは「どの商品が、どの拠点で、どれだけ動いているか」をリアルタイムで結びつけ、在庫や生産計画を最適化する。保険会社では、引受審査や不正検知のプロセスをデータドリブンに組み替える。
病院チェーンなら、患者数予測から病床・人員配置までを一体で管理する。こうした高度なユースケースを、「個別開発ではなく“基盤+必要なカスタマイズ”」で提供するのがパランティアのスタイルです。
プロダクト名で言えば、軍事・諜報向けの「Gotham」、政府・民間を横断する業務基盤の「Foundry」、そこに生成AI活用を組み込む「AIP」などがありますが、いずれも根っこは同じです。
つまり、巨大で複雑な組織の中枢に入り込み、データとAIを「実務レベルで使える状態」にするための総合プラットフォームを提供する企業と言えます。
AIそのものというより、「AIがきちんと働ける職場環境をつくる会社」と捉えると、イメージしやすくなります。
米政府の「奥深く」に入り込む存在へ
パランティアの成長を語るうえで欠かせないのが、米連邦政府との関係です。
トランプ政権下では、コスト削減の名のもとに大手コンサルやIT受託企業の契約が見直され、数十億ドル規模の案件が削減されました。その一方で、その空白を埋める存在として浮上したのがパランティアです。同社は従来のプレーヤーと対立するのではなく、むしろ彼らと提携しながら「共通基盤」として入り込むポジションを築いていきました。
パランティアは連邦予算からの支払いとして、ある年度だけでも1億1,300万ドル規模を受け取っているとされ、前年度比で米政府関連の収入が3億7,000万ドル以上増加したと報じられています。
個別案件を見ても、移民関税執行局(ICE)との約3,000万ドルの契約、自発的な国外退去の追跡などへの活用、さらにペンタゴンからはMaven Smart System関連で約7億9,500万ドル規模の契約を獲得し、関連プロジェクト全体では13億ドル規模に達しています。
なかでも注目を集めるが、IRS(米国税庁)とともに進めているとされる「メガAPI」構想です。これは、各省庁に分散したデータをまたいで扱える巨大なインターフェースをつくり、「IRSシステム全体のデータ取り込みセンター」として機能させようとするものです。もし本格的に稼働すれば、税、給付、治安、軍事といった領域を横断してデータが統合されることになり、パランティアはその基盤を提供する中枢プレーヤーとなります。
加えて、アクセンチュア、デロイト、ブーズ・アレンなど、従来から政府と太いパイプを持つ受託企業ともパートナーシップを構築。これらの企業の現場ネットワークと、パランティアのソフトウェアを組み合わせることで、「政府機関への導入窓口」としての影響力をさらに拡大させています。
その一方で、元社員からは「パランティアが政府の唯一の“アプリ工場”になるのではないか」という懸念も語られています。もし一社が基盤ソフトウェアを事実上独占すれば、競争環境や監視の仕組みが歪みかねない、という問題意識です。
つまりパランティアは、米政府から厚い信頼を得て成長してきた半面、「依存の深さ」ゆえの政治的・倫理的リスクも同時に抱えた企業だということが、これらの具体的な契約や構想から浮かび上がってきます。
AI企業の「勝ち組モデル」と注目される理由
パランティアは、典型的なSaaS企業のように一律のソフトを配る会社でもなければ、従来型の受託開発企業でもありません。自社開発のプラットフォームと、現場に深く入り込む専門チームをセットで提供する独自のモデルが特徴です。
同社のプラットフォームは、業種特化の単機能ツールではなく、「どの業界の中枢業務にも“伸びていける”汎用基盤」として作られています。さらにパランティアは、フォワード・デプロイ・エンジニア(FDE)やデプロイメント・ストラテジストといった人材を顧客の現場に配置し、この基盤を使って個々の組織に合わせたアプリケーションを構築していきます。
ここで重要なのは、彼らが「仕様書通りに作る下請け」ではないことです。経営層や現場と同じテーブルに座り、「どのプロセスをデータ化し、AIをどこまで踏み込ませるか」という設計から関わり、その結果生まれたモデルやワークフローを再びプロダクト側にフィードバックします。
この循環があることで、従来のSaaSでは対応しきれなかった企業固有の中枢業務に入り込め完全フルスクラッチ開発より短期間で高機能なシステムを提供できるという両立が可能になり、数億円規模の大型契約と高い利益率を同時に狙える構造になっています。
AI技術がまだ定型化しきっておらず、「とりあえずAPIを渡せば終わり」という段階にない今、「共通基盤」と「現場密着チーム」を社内に抱え込むパランティアのモデルは、特に大企業や政府機関の“難しい領域”と相性が良いという構造です。
もっとも、このモデルは軽量なサブスク型よりも多くの期待を背負いやすく、市場から常に「この成長と収益を維持できるのか」を試される立場にもあります。直近の好決算と株価急落は、その期待と警戒感によるものとも考えられます。
パランティアは、成長企業でありながら、同時に「どこまで影響力を持ってよいのか」という議論も呼び込む存在です。その動きは、今後のAI企業のビジネスモデルや、政府とテック企業の関係性を考えるうえでも、引き続き目が離せない企業と言えるでしょう。
参考資料
Kelly, M. (2025, 10 12). 『いまやパランティアが連邦政府の奥深くに砦を築いている』. WIRED.jp. https://wired.jp/article/sz-palantir-government-contracting-push/
ウエルスアドバイザー. (2025, 11 10). 『<米国株情報>パランティア、好決算でも1週間で11%急落―CEOは「市場操作」と強く非難』. Yahoo!ファイナンス. https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/c2e07ca751d97247865262409eb09ec38aff74fb
LayerX. (n.d.). 『急落でも強い?謎のAI株「パランティア」』[YouTube動画].
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