AIへの期待過剰か NVIDIA決算好調も株価下落(9/2)
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目次
先週の決算
AIへの期待過剰か NVIDIA決算好調も株価下(9/2)
今週の決算予定 (2024.9.2 〜)
#先週の決算結果
先週決算発表のあった注目企業の決算結果をまとめました。アナリストの予想を上回ればビート、下回ればミスとなります!
上から、エヌビディア $NVDA、デル・テクノロジーズ $DELL、HP(ヒューレット・パッカード) $HPQ、クラウドストライク $CRWDとなります。
#AIへの期待過剰か NVIDIA決算好調も株価下落
好調な決算も、高すぎる期待値が重荷に
人工知能(AI)用半導体市場を牽引するエヌビディア。その成長ぶりは目覚ましく、過去1年間で時価総額が約2兆ドル(約290兆円)も膨らみました。 しかし、2024年8月28日に発表された四半期決算は、投資家たちの期待を完全には満たすことができず、時間外取引で株価が急落しました。
NVIDIA CEO ジェンスン・フアン ANNABELLE CHIH—BLOOMBERG/GETTY IMAGES
売上高見通しは予想を上回るも、成長鈍化の懸念
決算自体は、売上高、一株当たり利益ともにアナリスト予想を上回る好調なものでした。 しかし、問題となったのは売上高見通しです。8-10月期の売上高見通しは約325億ドルと、アナリスト予想平均の319億ドルは上回ったものの、一部で予想されていた379億ドルには届かず、期待値の高さに市場は反応しました。 エヌビディアは過去数四半期、ウォール街の予想を大きく上回る決算を発表してきましたが、その上振れ幅は縮小傾向にあり、成長鈍化への懸念が拭えない状況です。
NVIDIAの株価はここ数日下落傾向に
エヌビディア Q2(5月~7月)の収益構造
ここで、今回発表されたNVIDIAのQ2(5月~7月)の収益構造を見てみましょう。
この画像は、NVIDIAの2025年度第2四半期(FY25 Q2)の収益報告を視覚的にまとめたものです(App Economy Insight より引用)。一見難しそうですが、実は理解すれば「NVIDIAの主要なビジネスは何なのか」がよく分かります。中央の黒い「Revenue(収益)」を境に、左側から右側に向かって、NVIDIAの収益がどのように費用や利益に分配されているかを示しています。主要なポイントを見てみましょう!
NVIDIA Q2の決算報告に基づく収益構造(App Economy Insight より引用)
収益 (Revenue):
NVIDIAの総収益は300億ドルで、前四半期比で15%増加しています。
収益の大部分はデータセンター(263億ドル)から得られており、前四半期比で16%増加しました。
ゲーミング部門からの収益は29億ドルで、前四半期比9%増です。
プロフェッショナルビジュアライゼーション、自動運転、OEM & その他の部門からも収益を得ていますが、それぞれの金額は比較的小さくなっています。
粗利益 (Gross Profit):
NVIDIAの粗利益は226億ドルで、全体の利益率は75%です。これも前四半期比で3パーセントの増加を示しています。
営業利益 (Operating Profit):
営業利益は186億ドルで、全体の利益率は62%です。これも前四半期比で3パーセントの増加を示しています。
純利益 (Net Profit):
純利益は166億ドルで、全体の利益率は55%です。これも前四半期比で2パーセンテージの増加を示しています。
費用の内訳 (Breakdown of Expenses):
収益に対するコストは75億ドルで、営業費用は39億ドルとなっています。
研究開発費は31億ドルで、総収益の10%を占めています。前四半期と同様の割合です。
販売、一般管理費は8億ドルで、総収益の3%を占めています。こちらも前四半期と同様です。
以上のように、NVIDIAはデータセンター部門を中心に非常に強力な成長を遂げており、粗利益や営業利益も大幅に増加していることが分かります。また、研究開発に収入の10%を割くなど、多くの資金を投入しており、今後の成長への準備も進めていることが伺えます。
新型チップ「ブラックウェル」の製造問題が影を落とす
株価下落のもう一つの要因として、次世代AI半導体「ブラックウェル」の製造上の問題が挙げられます。 ブラックウェルはエヌビディアの今後の成長を支える重要な製品として期待されていましたが、製造過程で予想以上の難題に直面していることが明らかになり、供給遅延の懸念が生じています。具体的には、「マスク製造工程」と呼ばれる部分に変更が必要となり、製造歩留まりの改善に取り組んでいると説明されました。
GTC2024の基調講演でNVIDIA社CEOのジェンスン・ファン氏は、Blackwell B200チップ(写真左)を公開。右側にあるのは前世代のHopper H200(NVIDIA GTC 2024 基調講演ビデオより)
AIの見通しは明るい?
エヌビディアの株価下落は、AIブームの終焉を示唆するものでしょうか? 現状では、AIへの投資は依然として活発であり、データセンターではAIソフトウェアに対応するためのアップグレード競争が繰り広げられています。 エヌビディアはその恩恵を最大限に受けてきた企業であり、AI投資ブームのバロメーターとして、その売上高見通しは市場から注目され続けています。
今回の決算発表は、今後の成長持続可能性に対する投資家の懸念を浮き彫りにしました。 エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、ブラックウェルの製造に関して、「供給はとても多くなるだろうし、増産も可能だろう」と述べています。 また、世界のデータセンターに設置されている時代遅れの機器を置き換えるには、1兆ドル規模の機器が必要であり、その交換作業は始まったばかりであると、コンピューティング業界の高い将来性を予測しています。
今回の世界中が大注目していたエヌビディアの決算の業績は、決して悪くないものです。しかし、過去数回のエヌビディアの決算が市場を圧倒するものであり、今回はそれに比べると伸びなかったね、というムードのようです。ブルームバーグのアナリストは、エヌビディアは市場の「持続不可能な高望み」に直面しているとしています。前回決算で日本で流行った「一生一緒にエヌビディア」という謳い文句も、市場心理をよく表しているように思えますね。今回の決算では、エヌビディアの株価は下落したものの、生成AIを始めとするAIブームは世界的に続いています。引き続き、エヌビディア含め半導体関連企業から目が離せませんね。
参考:
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-29/SIZJ1RDWLU6800
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-28/SIY3EXDWRGG000
https://www.ig.com/jp/news-and-trade-ideas/sp500-may-drops-under-fear-of-weakening-ai-boom-from-nvidia-earn-240829
#今週の決算スケジュール (2024.9.2〜)
今週は以下の企業が決算を発表予定です。
(©️Earnings Whispers @eWhispers Xより)
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