Apple株価下落 トランプ大統領 iPhone関税案
トランプ前大統領は23日、自身のSNS「Truth Social」で、アメリカ国外で製造されたiPhoneには25%の関税を課すと表明し、Appleの株価は3%以上下落しました。本記事では、この発言がAppleに与える影響と課題についてわかりやすく解説します。
本記事では、米国投資アプリを運営するWoodstock経済部が
トランプ氏の発言の意図
Appleの高い中国依存
関税の影響は?
ということなどついてわかりやすく解説します。
(本記事は、公開情報に基づく分析および筆者の見解を示したものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。株価や企業の将来を保証せず、また特定の政治的立場や政策を支持・推奨する意図も一切ありません。投資判断や経済的判断は、ご自身の責任で行ってください。)
目次
なぜiPhoneが関税の標的に? 背景に中国生産依存
免れない大きな影響
Appleは中国依存から脱却できるのか
日本への影響はまだ不明だが…
なぜiPhoneが関税の標的に? 背景に中国生産依存
トランプ大統領が23日、Truth Social上でアメリカで製造されていないiPhoneに25%の関税を課すと発言しました。正式発表ではありませんが、Appleの株価を3%以上下落させました。
(翻訳)
“私は以前からAppleのティム・クックに伝えてきました。アメリカ国内で販売されるiPhoneは、インドやその他の国ではなく、アメリカ国内で製造・組み立てられるべきだと考えています。
もしそれが守られないのであれば、Appleはアメリカに対して少なくとも25%の関税を支払わなければなりません。どうかこの問題にしっかりと対応してください。”
Appleが関税の主なターゲットとされる背景には、同社の製品供給における中国への高い依存度があります。iPhoneやiPadをはじめとするApple製品の大部分は、台湾の巨大EMS(電子機器受託製造サービス)企業であるFoxconn(フォックスコン)などが中国国内に展開する工場で組み立てられています。Foxconnは1990年代から中国の安価で豊富な労働力を活用し、地方政府からの補助金も得て世界最高水準の製造設備を整備しています。
Appleが2003年にiPodの生産を委託して以降、販売台数は飛躍的に伸び、iPhoneの成功でその関係はさらに強固なものとなりました。2015年頃には、Appleは年間約550億ドル(当時のレートで約6.6兆円)もの巨額資金を中国での生産関連に投じていたと報じられています。
しかし、この「中国一極集中」ともいえる生産体制は、米中間の貿易摩擦が激化する中で大きなリスクとして顕在化しました。トランプ米大統領は、就任直後からアメリカ国内の雇用創出と製造業回帰を掲げ、中国からの輸入品に高関税を課す政策を推進してきました。
そして先週23日には、Appleに対して名指しで、「iPhoneをアメリカ国内で製造すべきだ。さもなければ少なくとも25%の関税を課す」と自身のSNS、「Truth Social」上で警告しました。
この要求は、サムスンなど他のスマートフォンメーカーも同様に米国内での生産を検討しなければ、同等の関税対象となりうることが示唆され、ハイテク業界全体にプレッシャーがかかりました。
トランプ政権の財務長官スコット・ベッセント氏は、この政策の狙いを「精密製造業をアメリカに取り戻すこと」、特に「半導体供給網の脆弱性」への対処であると説明。Appleの部品の多くが半導体であることから、その協力が期待されているとみられます。
免れない大きな影響
実際に高い関税が課された場合、Appleは深刻な影響を免れません。その影響は、主に製品価格、業績、そしてサプライチェーン戦略の三方面に及びます。
第一に、製品価格への転嫁です。仮にiPhoneに25%もの関税が課されれば、Appleがそのコストを全て吸収することは困難であり、最終製品であるiPhoneなどの価格に上乗せされる可能性が高まります。
Wedbush Securitiesのアナリスト、ダン・アイブス氏は、仮にiPhoneの全生産をアメリカ国内に移管した場合、部品供給網の再構築だけで約300億ドル(約4.7兆円)と3年を要し、iPhoneの販売価格は現在の約1000ドルから3500ドル(約55万円)以上に跳ね上がる可能性があると試算しています。これはあくまで極端なシナリオですが、関税による値上げ圧力は避けられません。
第二に、業績への直接的な打撃です。製品価格への関税転嫁が難しい場合や、それによる販売台数の減少が起きた場合には、Appleの収益は大きく圧迫されることになります。先週の報道によれば、Appleティム・クックCEOは、今四半期において、関税による負担が最大で9億ドル(当時のレートで約1400億円)に達する可能性があるとの予測を示しています。
第三に、サプライチェーン戦略の根本的な見直しです。この危機に直面し、Appleは長年依存してきた中国中心の生産体制からの脱却を模索し始めています。例えば、iPhoneの生産の一部をインドやベトナムといった国々に移管する動きを加速させています。ティム・クックCEOは「アメリカで販売されるiPhoneの大部分はインドが原産国になるだろう」との見通しを示したことも報じられています。これは単なるコスト削減ではなく、地政学的リスクの分散という側面も大きいと考えられます。
Appleは中国依存から脱却できるのか
Appleにとって中国は、単なる“組立工場”ではなく、FoxconnやPegatron(ペガトロン)が築いた巨大なものづくりエコシステムそのものです。Wedbush証券の試算によれば、2025年時点でもiPhoneの約9割が中国で最終組み立てを行っているとされています。
とはいえ米中関係の緊張が続くなかで、Appleも“チャイナ・プラスワン”に本腰を入れ始めました。英FTやインドの経済紙によると、Foxconnはインドのチェンナイ近郊で数年以内に年間5,000万台規模のiPhoneを生産できる体制を目指しており、ベトナムでもAirPodsやApple Watchのラインがすでに稼働しています。ただ、サプライチェーン全体をそっくり移すには5〜10年、数兆円単位の投資が必要との試算もあり、道のりは決して平坦ではありません。
さらに中国は今でも世界第2位のスマホ市場です。政府機関でのiPhone利用制限やHuawei推奨といった逆風はあるものの、サービス収益を考えると簡単に背を向けられる相手ではありません。結局のところAppleは、中国との太いパイプを維持しつつインドやベトナムへ生産を分散させる“ハイブリッド型”に舵を切る――これが当面、現実的な落としどころと言えそうです。
中国で長年培ってきた高度な生産技術や効率的なサプライチェーンを他国で短期間で再現することは容易ではありません。Appleの共同創業者である故スティーブ・ジョブズ氏は、かつてオバマ大統領(当時)に対し、アメリカ国内でiPhoneを生産するには3万人もの工業エンジニアが必要だが、それだけの人数を確保できないと語ったとされており、米国内生産のハードルの高さを物語っています。
Appleはこれらの関税圧力に対し、トランプ大統領との直接対話(ティム・クックCEOがホワイトハウスや海外訪問先でトランプ大統領と複数回会談したことが報道)や、アメリカ国内への投資アピールも行っています。例えば、AI製品「Apple Intelligence」を支えるサーバーを生産する新施設をヒューストンに建設するなど、総額5000億ドル(約78兆円)規模の米国施設拡張計画を発表し、米国内での雇用創出や経済貢献を強調しました。
日本への影響はまだ不明だが…
Apple製品が世界中で販売され、その部品供給網もグローバルに広がっていることを踏まえれば、生産コストの上昇が製品価格に転嫁された場合、日本を含む各国の消費者がその影響を受ける可能性は否定できません。
今後のAppleの戦略において最も重要な焦点は、「Appleは中国から脱却できるのか?」という点に集約されるでしょう。米中間の貿易摩擦や地政学的な緊張が続く限り、Appleはサプライチェーンの多様化とリスク分散をさらに推し進める必要に迫られます。しかし、それは同時にコスト増圧力や生産効率の一時的な低下といった課題も伴います。
アナリストの間でも見方は分かれました。Wedbush Securitiesのダン・アイブス氏は、AppleがiPhoneをアメリカ国内で生産するという考えは「実現不可能な夢物語」と断じ、その困難さを強調しています。一方で、同氏は、Appleが長年にわたり様々な課題を乗り越えてきた実績から、この関税問題にも最終的には対応していくだろうとの期待感も示していました。
トランプ大統領の今回の発言はまだ正式な発表ではなく、これまでのトランプ氏の発言、撤回の繰り返しをみるとまだ撤回する余地は残されています。ただ、トランプ大統領は一貫してアメリカ国内生産を掲げているため、少なくともAppleやNVIDIAなど巨大サプライチェーンは国内生産の方向に向かうことが予想されます。今後もトランプ氏の発言と巨大テック企業の動向には注視していく必要があります。
参考文献
Kottasová, I. (2025, May 25). Trump delays decision on EU car tariffs, averting trade clash. CNN. https://edition.cnn.com/2025/05/25/business/trump-eu-tariff-delay
The Economist. (2025, May 13). Can Apple extricate itself from China? The Economist. https://www.economist.com/culture/2025/05/13/can-apple-extricate-itself-from-china
BBC News. (2025). Apple’s China dilemma: Can it shift production fast enough? BBC. https://www.bbc.com/news/articles/cgr5xrygzk5o
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