Weekly Bites! 🍩 vol.10 | OpenAIがChatGPTのプラグインを追加!& 一連の金融不安の影響、為替市場への影響やドルを取り巻く環境について
2023年4月3日号
Weekly Bites Vol.10へようこそ!Weekly Bites著者のブライアンです。
今日は一連の金融不安の影響からの為替市場への影響、特にドルを取り巻く環境について、そしてOpenAIがChatGPTのプラグインを追加した件について、お届けします!
目次
#1 世界の基軸通貨としての米ドル、その米ドルへの信頼は失われつつあるのか??対して、中国はどう反応するのか。
ドルは、1944年(ブレトンウッズ協定)以来、世界の基軸通貨として機能しています。
ブレトンウッズ協定
ブレトンウッズ協定とは、第二次大戦後に米国を中心に作られた、為替相場安定のメカニズムのことです。1944年、米国にあるブレトンウッズホテルに45カ国の連合国の代表が集まって決められました。
これは、第二次大戦の遠因でもあった保護貿易や競争的為替相場切り下げの再発を防ぐため、そして戦後の復興に欠かせない貿易の円滑な発展のための決済システムを作るために行われたものでした。
基本的には、戦前の金を国際決済手段とする金本位制への回帰ですが、過去と異なる点は、各国通貨と米ドルの交換比率を固定し、ドルだけが金と交換比率を1オンス35米ドルに固定するという、ドルを間に挟んだ金本位制だったという点です。
金とドルの相場を固定しドルと各国通貨の相場を固定するということは、金本位制と実質的には同じですが、違いは、金本位制では各国間の決済が原則的には金で行われていたのに対し、ドルを間に挟んだ金本位制では、各国間の決済がドルで行われたということです。金は紙の通貨とは異なり、貿易量の増加に従って柔軟に流通量を増やすことが出来ません。
経済規模の急速な拡大の前に、その点で金を決済手段とする利便性は大きく低下しており、通貨発行量を拡大しやすい一国の通貨、米ドルが金にとってかわったというわけです。
上記の通り、ブレトンウッズ体制の頃はドルは金に支えられていて、ドルと金の交換比率が固定されていましたが、1971年にニクソン大統領が金本位制から離脱し、事実上、信頼に基づいた上で、好きなだけお金を刷ることができるようになりました。
その国の通貨が投資、取引、通貨交換のために世界中で安全に受け入れられて、評価されて初めて、何もないところからお金を生み出すことできるということになります。
さて、今の状況を見てみると、世界の基軸通貨である米ドルの価値は、この20年間で下がり続けています。図からわかるように、世界の中央銀行は過去20年間、米ドル準備の割合を減らしてきましたが、それでも世界の外貨準備金の58%以上を占めています。(外貨準備金とは各国の通貨当局の管理下に置かれている、すぐに利用可能な対外資産のことです。当局が急激な為替相場の変動を抑制するとき、いわゆる為替介入や、他国に対する外貨建債務の返済が困難になったときなどに用いられます。)
基軸通貨の役割と、米国がなぜ米ドルを世界の基軸通貨として維持したいのか、その状況下でなぜ米ドルのシェアが年々低下しているのかを少し掘り下げてみてみましょう。
世界の基軸通貨として、各国は米ドルを使って国際取引や金融取引を行っています。世界中の中央銀行が大量に米ドルを保有しているため、外貨を受け取る際に不必要な為替リスクを負う必要がないということになります。
例えば、ジンバブエの商人と取引をする場合を考えてみましょう。ジンバブエドルを自国の通貨に交換するまでに、たくさんお金を失っている可能性があるのです。一方で、世界の基軸通貨であるドルで取引を行うことに合意すれば、そのようなリスクは軽減されるのです。
では、アメリカにはどのようなメリットがあるのでしょうか。米国は、全世界が自国の通貨、米ドルに一定の信頼を持ってくれるという特権を得ることができます。米国は、米ドルに対する信頼があるために、魅力的な金利でお金を借りることができます。
また、石油、トウモロコシ、アルミニウムなどのほとんどのコモディティ商品は米ドルで価格設定され、取引されているため、米国は米ドル建ての銀行口座を凍結することで外国に経済的制裁を与えることができるのです。
しかしながら、先ほど述べたように、各国の中央銀行は米ドルのシェアを減らしてきています。なぜなのでしょうか。
過去20年間にわたり、アメリカの中央銀行であるFRBは、2000年のドットコムバブル時、2008年の金融危機、そして2020年のパンデミックと、3度にわたって米国の景気後退を救うために介入してきました(グラフのグレーラインの部分)。
この3度のタイミングでは、FRBは景気を向上させるために、国債などの資産を購入して市場に資金を供給する量的緩和を実施しました。(量的緩和は、金利を下げる代わりに、経済の血液であるお金の量を増やすことで、景気浮揚を図ろうとする金融政策の手法のこと。中央銀行が金融機関が保有する国債などを買い取る形で、金融市場に資金を大量供給します。)
しかし、ドルを保有する世界中の中央銀行にとって、これは何を意味するのでしょうか?通貨供給量が増えると、1ドルの持つ価値は下がることとなり、商品やサービスを購入できる量が減ることになります。つまりは、FRBは世界中の銀行のもつ、外貨準備金の価値を事実上、下げることになるのです。
例えば、あなたがブラジルの中央銀行で、ドルを貯めこんでいたとして、その貯めこんできた外貨準備金の価値が大幅に下がったに気づいたとしましょう。それは良いニュースではないに違いありません。
今まさにそれが起きているのです。米ドルの人質になることを好まない国もあります。その中心にいるのがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)です。ワシントンポストによると、中国とロシアは、インド、ブラジル、南アフリカとともに、米ドルに対抗する新しい世界基軸通貨の開発に取り組んでいることを発表しています。
参考資料:https://www.washingtontimes.com/news/2023/mar/6/russia-and-china-may-try-using-their-natural-resou/
ロシアとウクライナの戦争が始まって、ロシアがEUの西側近隣諸国に金を輸出できなくなるにつれ、中国はロシアからの金の輸入を67%増やしています。また、中国とブラジルは、米ドルで取引する代わりに、自国通貨で直接取引する契約を結んだばかりです。
参考資料:https://www.foxbusiness.com/markets/brazil-china-strike-trade-deal-agreement-ditch-us-dollar
この脱ドル化の動きはBRICS以外でも広がっているようです。サウジアラビアも石油の販売に際して、米ドルではなく、中国元を受け入れることを検討していると報道されています。明らかに、中国は、今、米国で起きている厳しい経済状況を利用しているという状況です。銀行救済からインフレ、ウクライナ戦争に至るまで、中国は戦略的な関係を積極的に構築し、中国元の世界的な普及を図っていると言えます。
では、中国や新たに誕生した基軸通貨が、米ドルに取って代わる日は近いのでしょうか?私はそうは思いません。世界の外貨準備金全体の58%が米ドルであり、その額は6兆4,000億ドル以上となっています。米ドルはそれほど支配的な力を持っており、世界で最も価値のあるブランドなのです。ブランドとしての米ドルは、ナイキやアップル、あるいはコカ・コーラよりもはるかに強いのです。
果たして各国の中央銀行は外貨準備金に占める米ドルの割合を減らし続けることができるのでしょうか?外貨準備金の切り下げリスクを最小化するためには、そうするのが得策だと思います。特に、銀行の経営破綻や、米国のすべての銀行で2兆ドル相当の資産が消し飛んでしまった後ではなおさらです。
少し話題はそれますが、中国に関連しては、前回のニュースレターでは、TikTokの議会での公聴会とその結果についてお話しました。先週、アリババの創業者であるジャック・マーが中国に戻ったと報じられましたが、これは北京が民間企業に対する圧力を緩和する兆しであるに違いありません。そしてアリババは、事業を6つの部門に分割する計画を発表しています。
同社CEOのダニエル・チャン氏の言葉を引用
"24歳になったアリババは、成長のための新しい機会を迎えている。市場は最高のリトマス試験紙であり、各事業グループや企業は準備が整えば、独立した資金調達やIPOを目指すことができます。"
この図は、アリババに属する6つの事業部門とそれぞれの規模を示したものです。中国の共産党は、民間企業に規制をかけたいと考えてる一方で、他方では、アメリカが、アメリカでビジネス展開している中国企業に大きな圧力をかけている今、中国政府は、彼らの企業が競争力を維持できるように、少し規制を緩和して、アメリカ企業に対抗できるように取り組んでいるようにも見えるのです。
#2 OpenAIがChatGPTにプラグインを追加、イーロンマスクは、6ヶ月の休止を求める
ChatGPTを開発したOpenAIは、このほどChatGPTプラグインを発表しました。
ChatGPTと大規模言語モデル (LLM)が世界にもたらそうとしているそのパワーやその表現力には、誰もが圧倒されたことでしょう。
さて、この「プラグイン」とは一体何なのでしょうか?OpenAIのウェブサイトには、こう書かれています。
“OpenAIのプラグインは、ChatGPTをサードパーティーのアプリケーションに接続させることができます。これらのプラグインにより、ChatGPTは開発者が定義したAPIと対話し、ChatGPTの機能を強化し、さまざまなアクションを実行できるようになります。”
Open AI : https://openai.com/blog/chatgpt-plugins
平たく言えば、自然に話しかけるだけで、食事の注文、飛行機の予約、会議のスケジュール調整、パーソナルトレーニングの予約のキャンセル、食料品店での食品の購入など、さまざまなことをAIにお願いできるようになったということです。まるで子供の頃に観たSF映画のように。
Open AIは今、開発者たちに、彼らのAPIエンドポイントと結合して、このプラグインを試してもらうおうとしています。
さて、なぜこれが大きな問題なのでしょうか?
想像してみてください、あなたがオンラインで飛行機を予約したり、テレビを買おうとしているところを。あなたは探しているものを検索し、検索エンジンやサイトがいくつかの選択肢を表示してくれることを期待するでしょう。しかし、ChatGPTのような大規模な言語モデルを使えば、自分が何を探しているのかを簡単に伝え、いくつかの条件を与え、実際に取引を完了させることができるのです。
これは、Googleのような検索エンジンを混乱させるだけでなく、エンドユーザーの経験を完全に再構築することになるため、少なくとも複数のサービスを一つのプラットフォームで統合して展開しているようなサービスアグリゲーターを混乱させることになります。
OpenAIとの統合を開発者に呼びかけることによって、機械学習されたモデルに基づいて答えを返す有限のシステムから、ユーザーが実際にあらゆる取引をそこで行うことができて、彼らの購買行動全体をそこで完結できてしまうようなサービスに、無限に接続できるダイナミックなエコシステムに進化するのです。
AIモデルを取り巻くエコシステムは、概念的にはAppleのappstoreやGoogleのplaysotreのエコシステムによく似ています。OpenAIのネットワークに多くの開発者が参加すればするほど、エンドユーザーにとってはより使い勝手が良くなり、ますます多くの企業がサービスの利用条件として、採用するようになります。
映画スパイダーマンの(ベンおじさんの)セリフにもあるように、大いなる力には大いなる責任が伴います。このChatGPTの件に関しては、未だいろんな意見があるのも事実です。ある人はAIに職を奪われることを恐れ、またある人は、これほどの進化がこんなにも早いスピードで起こることに対して、人類はまだ準備ができていないと考えています。
実際、イーロン・マスク、スティーブ・ウォズニアック、及び人工知能の専門家グループは、社会への潜在的なリスクを理由に、OpenAIのGPT-4より強力なシステムの開発を6ヶ月間休止するよう公開書簡で呼びかけているという事態にもなっています。
参考資料:https://futureoflife.org/open-letter/pause-giant-ai-experiments/
このAI開発には重大な潜在的リスクがあることは事実でしょうが、これらの企業が強力なAIモデルの開発をただ止めるというのは現実的ではないように思います。むしろ、こうした開発の速度に遅れを取らないよう、私たちも皆、学習を加速させて、AIについて学んでいくべきではないでしょうか。
また、当局も、この開発を受け入れて、これらのモデルをどこで使用できるのか、規制と倫理の枠組みを定義し始めるべきだとも思います。
#Company Update
アプリの新バージョン1.1.11をリリースしました!
今回のリリースで新しくなった主な点は、以下の通りです。
チャートの UI/UX を改善しました。
サーチページのスクロール速度を改善しました。
ポスト作成画面から、ポートフォリオ(銘柄比率つき)をシェアできるようになりました。
ポートフォリオのアクティビティから利確履歴が見られるようになりました。
その他いくつかのバグを修正しました。
#みんなのトレード
Woodstock.clubアプリ上で、先週(3/26-4/1)売買された銘柄ランキングはこれだ!
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Yay 👏👏
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