Weekly Bites Vol.9へようこそ!Weekly Bites著者のブライアンです。
今日はアメリカで公聴会まで巻き込んで話題となってるTikTokの行方、そしてWBCで盛り上がった野球と投資の共通点についてをお届けします!
目次
#1 今週の気になるトピック
#1-1 果たして、TIkTokは米国で本当に禁止されるのか?禁止されたとしたら何が!?
TiktokのCEOの議会での証言
先週木曜日、中国系の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の周受資・最高経営責任者(CEO)は、米下院エネルギー・商業委員会で開かれた公聴会で米国の議員から厳しい追及を受け、なんと議会での証言は5時間以上にも及びました!
それはもう、激しい5時間となりました。民主党と共和党の両方からよくは思われていない中国企業(TikTok)の代表が、議会の公聴会に出席し、5時間以上も自身の会社を擁護しなければならない状況を想像できるでしょうか?しかも、緊張や不安でプレッシャーを感じたととか、仮にそのような理由であっても、虚偽の陳述をしてしまった場合、アメリカではそれは連邦犯罪にまでなってしまうのです。ちょっと想像するだけでも、本当に大変な仕事です。
周氏は、公聴会の中で、米国の1億5000万人のユーザーのプライバシーはきちんと守られており、米国のデータは米国内で保管され、中国からはアクセスできない場所にあることを強調しました。しかしながら、TikTokは中国のByteDance社の所有するサービスであり、中国の法律においては、すべての企業がユーザーデータを政府からアクセスできる状態にする必要があるため、議会では誰も周氏の主張を受け入れなかったのです。
以下は公聴会の映像です。
"Tiktokを所有しているのはByteDanceで、ByteDanceはCCP(Chinese Communist Party: 中国共産党)に所有されている訳なので、法律上は中国共産党はあなたとByteDanceに、彼らが望むことをなんでも要求することができるのです。”
"Tiktokを所有しているのはByteDanceで、ByteDanceはCCP(Chinese Communist Party: 中国共産党)に所有されている訳なので、法律上は中国共産党はあなたとByteDanceに、彼らが望むことをなんでも要求することができるのです。”(0:30-0:38)
“ByteDanceは会社として、この公聴会ための準備に関わりましたか?” (0:30-0:40)
周氏は、TikTokはBytedanceからは独立したグローバル企業であり、TikTokのCEOとしては、中国共産党の誰とも話していないと主張しましたが、それでも議会は彼に逃げ道を与えませんでした。
米国の議員たちの重要な論点は次の通りです。
中国政府はアメリカ国民のデータにアクセスしている。
ByteDanceはアメリカ市民をスパイする目的でこのアプリを使っている(もしくは、過去に使用していた)。こちらの記事によると、TikTokは、ジャーナリストの情報源を追跡する試みの一環として、自社のアプリを使って 記者をスパイしていたことを認めています。(https://www.theguardian.com/technology/2022/dec/22/tiktok-bytedance-workers-fired-data-access-journalists)
近年、10代の若者を中心に爆発的な人気を博しており、薬物や自傷行為に関連するコンテンツなど、プラットフォーム上のコンテンツの安全性に問題がある。
TikTokは今や米国で広く普及しており、1億5千万人以上の米国人ユーザーと5百万以上の企業が利用しています。中国共産党はTikTokを使って、本当にアメリカ人に対して、影響力を持って操り、そしてスパイ活動をしているのでしょうか?TikTok側は、アメリカ国内のデータについては、米国の会社が保存し、米国人職員によって監督する形でのアメリカでの継続運営を主張していますが、結論から言うと、法律家はその実現性を非常に懐疑的に思っており、その上で、システムが中国から完全に分離されていることを証明するのは困難だと付け加えています。
選択肢としては、ByteDanceから切り離して、TikTokの米国企業への分離売却をする、もしくは、米国でサービスが禁止されるという二つがあり得るかと思います。前者の米国企業への売却は、実現可能性は少ないものの、少なくとも短期的には米国議会を満足させることができるでしょう。しかし、もしもう一つの選択肢、米国でTikTokが禁止されることになれば、クリエイター、消費者、そして全てのその他のソーシャルメディアプラットフォームにとっても、これはどのような意味を持つのでしょうか?もうちょっとみてみましょう。
#1-2 TikTokは実際のところどのくらいの規模感なのか?
TikTokは、、それはもう巨大なプラットフォームです。約18億人(!)の月間ユーザーがいて、2022年には94億ドルの売上をあげています。
約18億人の月間ユーザーのうち、TikTokだけで、1億5000万人以上の月間ユーザーを米国で抱えているのです。
先ほどの2022年の約94億ドルの売上のうち、約60億ドルが米国から、つまりは売上の約3分の2が米国からもたらされるものなのです。eMarketerによると、TikTokは今年、米国だけで約90億ドルの売上を上げると予想されています。
ユーザー数に関しては、TikTokが約18億人なのに対して、Instagramは23億人、Youtubeは26億人です。Instagramの2022年の広告収入は330億ドルで、TikTokの収入の約3.5倍にあたります。しかしながら、Instagramの収益がYoY20%で成長する予定なのに対し、TikTokの2023年の収益は約180億ドルとYoY55%で成長することが予想されており、TiKTokの成長スピードはInstagramに比べてもはるかに速いのです。
参考資料:https://www.oberlo.com/statistics/tiktok-ad-revenue
では、仮にTikTokが米国で禁止されることになった場合、同様のショートビデオを提供しているInstagramやYoutubeはどうなるのでしょうか?
以前のWeekly Bites🍩 Vol.2(METAの決算の直後)でこんな事を書きました。
“リール”はうまくいってます。視聴者はTikTokのようなAIが推薦してくれる短尺動画を見るのを楽しんでいますし、クリエイター側としても自分の動画を他のプラットフォームにも(例えば、TikTokとリール両方に)投稿できるというメリットがあります。METAはこの”リール”を大幅に改善し、広告インプレッションを急増させています。マークザッカーバーグ氏は、”フィードと比較して、リールは広告効率という意味では低いため、ユーザーがタイムラインに目を向けずリールばかりを見ていると、タイムラインからの機会損失にも繋がり、短期的には収益にとってはマイナスです。” と釘をさしてはいますが。
まず、クリエイターとしては、ショートムービーを他のプラットフォームにもシェアしたいと考えています。彼らはTikTok、Instagram、YouTubeに同じショートムービーを投稿するのです。コンテンツは日常の中で消費されるものであり、ショートムービーだっていわゆるコモディティなのです。著作権の問題がない限りは、InstagramとYouTubeはクリエイターがTikTokに投稿した動画を、Instagram, YouTubeにも投稿することを歓迎しています。TikTokがなくなった場合、クリエイターは他のプラットフォームでショートムービーを投稿し、消費者はそこでコンテンツを見つけていくことになります。
これらのコンテンツプラットフォームの間で起こっているのは、消費者がどこで時間を過ごすか、その可処分時間の奪い合いなのです。Netflixで最新の番組が1時間見られてしまうということは、TikTokやReels、YouTube Shortsといったショートムービーを見るための1時間が失われるという事なのです。時間というのは有限であり、これはゼロサムゲームなのです。
では、もし、TikTokがアメリカ人から排除されたら、どのプラットフォームがショートムービー需要の恩恵を受けるのでしょうか?ひとつ確かなのは、METAがリールに力を入れていて、トラフィックが急増しているということです。もしあなたがTikTokのクリエイターで、TikTokコンテンツでビジネスを展開しているとして、それが停止されるかもしれないと聞いたら、コンテンツを他のプラットフォームに分散させるのではないでしょうか?要検討ですね。
#2 WBCと映画”マネーボール”から何を学ぶべきか。
先週の水曜日、ワールドベースボールクラシック2023で日本が優勝しました。
大谷翔平が9回にチームメイトのマイク・トラウト選手から空振り三振を奪い、3対2でアメリカに勝利した瞬間、日本中は歓声と涙に包まれました。なんと劇的な勝利だったことか。痺れましたね!チームジャパンの優勝はまさしく努力と決意が生み出したものに間違いありません。
試合があまりに良かったので、一日中野球について話せしまいそうですが、今日は、映画「マネーボール」(ブラッド・ピット監督)とそこでふれらている投資への教訓についてお話したいと思います。映画を見たことないって方もご安心ください。Youtubeからハイライトを見つけてきました。
では、「マネーボール」と「投資」の間にはどんな類似点があるのでしょうか。
それは、投資するということの本当の価値をちゃんと理解して、他の人が目もくれない、過小評価されている選手でポートフォリオを組むということです。
映画マネーボールでは、野球チーム「オークランド・アスレチックス」のゼネラルマネージャーであるビリー(ブラッド・ピット)が、非常に厳しい予算の中で競争力のあるチームをなんとか作りたいと考えています。彼の型破りなアプローチは、こうでした。過大に評価されているようなスーパースターを追い求めるのではなく、統計的な価値に基づいて選手を選ぶことでした。例えば、塁に出れる選手で最も過小評価されているのは誰だろう?映画の中の一部を見てみましょう。
"2万人の注目選手の中で、私は、25人の優勝できるチームを、限られた予算でも作ることができると思う。なぜなら野球界の誰しもが彼らを過小評価しているからだ。” (2:27 - 2:40)
野球選手と同じように、各銘柄の株価にも偏りがあるのです。時には、あるニュースの見出しや不確実性が原因で、業界のみんなから嫌われている銘柄があります。重要なのは、市場の誰もが嫌っているからこそ今格安で買える25銘柄をどうやって見つけて、そのメンバーでチームをどう作るのか、ということです。
ウォーレン・バフェットの名言「他人が貪欲なときは恐れ、他人が恐れるときは貪欲になれ」と共に、ビリー(ブラッド・ピット)の映画からの名言をご紹介します。
“ジェレミーの出塁率だけど、彼は、28万5000ドルしかしない選手の割にはよく出塁している。”(2:00 - 2:08)
#Company Update
アプリの新バージョン1.1.10をリリースしました! 今回のリリースで新しくなった主な点は、以下の通りです。早速、ランキングをみなさん話題にしてくださってるようです!
1) People セクションにランキングを設けました。
2) タイムラインの読み込み速度を改善しました。
3) プレマーケットとアフターマーケットをリアルタイムで見れるようになりました。
4) UI/UXを改善しました。
#みんなのトレード
Woodstock.clubアプリ上で、先週(3/19-3/25)売買された銘柄ランキングはこれだ!
#直近の決算
少し決算発表も落ち着いてきましたが、先週woodstock.clubで取り上げたいくつかの決算のまとめについて改めて、ご紹介しておきます。(BEAT!は、決算が予想よりもよかった時、MISS...は予想より悪かった時、INLINEは予想通りだった時をそれぞれ意味しています。)
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