Weekly Bites Vol.18へようこそ!著者のブライアン・ユンです。今週の気になるトピックは、AppleのVision Proについてです。
目次
#今週の気になるトピック“One More Thing…”(Audioあります!)
始める前に、念の為ですが、私たちの配信しているコンテンツは投資のアドバイスではなく、ここで述べることはすべて筆者(ブライアン・ユン)の個人的な意見と調査に基づいており、Woodstockの見解を代表するものでもありません。個人的にポジションを保有している可能性もあります。WeeklyBites!に掲載されている内容は、あくまで情報提供のみを目的としていますのでその点ご理解ください。
#Company Updates
アプリの新バージョン1.1.24をリリースしました!
今回のリリースで新しくなった主な点は、以下の通りです。
パフォーマンスの改善を行いました。
UI/UXの改善を行いました。
いくつかのバグを修正しました。
#今週の気になるトピック
#“One More Thing…”
スティーブ・ジョブズは、"One more thing”(そして、もうひとつ)とプレゼンテーションの終盤にお決まりのフレーズを言うことで有名でした。何かとてもエキサイティングな発表があるたびに、彼は決まって「もうひとつあるんだ」と短く間を置いて、新製品の紹介を始めるのです。例えば、iMac、iPod、MacBook、FaceTime、Apple TV、MacBook Airなどは、スティーブ時代のゲームチェンジャー的な製品で、まさに、この「one more thing」という言葉に値するものでした。スティーブ・ジョブズが亡くなってからも、ティム・クックはこの「One more thing」の伝統を受け継ぎ、Apple Music、Apple Watch、iPhone Xなどの製品を発表する際にこのフレーズを使っています。
そして先週のAppleのWWDCで、ティム・クックがまたやってくれました。この特徴的な「One more thing」で、Apple Vision Proを発表したのです。
ティム:”すでにたくさんの発表があり、これだけでも十分大きな発表をした1日となりました。でも、もうひとつまだあるのです、まったく新しいARプラットフォームを、この革命的な製品とともに発表できることにとても興奮しています。こちらです。”
基調講演(2時間)をまだご覧になっていない方は、ティム・クックがApple Vision Proを発表した3分間のクリップをご覧ください:
ちなみに、ARとVRの違いについてご存じでしょうか?AR(Augmented Reality : 拡張現実) とは、現実世界を立体的に読み取り、仮想的に拡張する技術です。対してVR(Virtual Reality:仮想現実)とは、100%バーチャルの世界に入り込んだかのような体験ができる技術、ユーザーの世界を仮想的な世界に置き換えるテクノロジーを指します。
アップルはいつも主要製品の発表でそうしてきたように、今回も世界を驚かせることを怠りませんでした。2つくらい大きく驚く点があったことかと思います。
これまで誰も見たことのないような非常にハイエンドな解像度のAR/VR
非常に高価な価格帯
もし3つ目があるとすると、空中で指を動かしてアプリをクリックできる、非常に洗練されたユーザーインターフェース(アイトラッキングとハンドトラッキング)もそうかもしれません。
が、私は3つ目のポイントは意図的に大きなサプライズとしてはここでは挙げませんでした。Appleは、ユーザーインターフェースを他社よりも何倍も優れたものにするために、常に革新的な方法を考え出してきました。例えば、iPodのクリックホイールやiPhoneのタッチスクリーンインターフェイスなど、数え上げればきりがありません。(素晴らしいユーザーインターフェースはAppleなら当然といったところなのです!)
今回アップルは、カメラやマイク、センサーをたくさん内蔵した(だから高い!)3500ドル、日本円で約50万円の超高解像度ヘッドセットを発表し、ティム・クックは「空間コンピューティング」の新時代を担う製品と宣言したのです。販売開始は2024年からだそうです。
アップル信者の皆さんなら、AppleはUIとデザインに注力し、既存のiPhoneやMacの持つ流通網と組み合わせることで、AR/VR市場を確実に支配するだろうと、おっしゃると思います。ティム・クックが言ったように、「空間コンピューティング」は、現在のiPhoneやMacの使い方の延長線上でありながら、より広いスクリーンと3Dでそれがなされると言うことなのかもしれません。おそらく、あなたの仕事の生産性をぐんと上げたり、モニターやプロジェクターがこれに置き換わるなんてこともあるかもしれません。また、発売時にはディズニープラスのコンテンツにも対応する予定なので、もしかしたらエンターテインメントのニーズにも大きな付加価値を与えることができるかもしれません。まさに、さまざまなことを変えるゲームチェンジャーになる可能性があるのです。
ただ、この発表を見たとき、私はMETAのマーク・ザッカーバーグのことを思わずにはいられませんでした。アップルはメタバース空間やデバイスの構築に力を入れてきたMETAを、退けるような商品を発表できたのでしょうか?
WeeklyBites!Vol.16「NVIDIA創業物語」を読んで下さった方なら、このNvidiaの話を思い出してもらえるでしょう。
ジェンセン(Nvidiaの創業者兼CEO)とチームはグラフィックチップの開発に誰よりも早くから着手し、そのためにアーキテクチャの設計を早々に決定しなければなりませんでしたが、後に後発のMicrosoftがDirectX(のちの、Windowsにおけるグラフィックス開発における基準)を作り上げたときに、それが全く役に立たなくなってしまったという話を。
ここにも共通点があるような気がします。Metaは何年も前からVR/ARに取り組んでおり、同社はすでに「Meta Quest」というヘッドセットをリリースし、改善を続けてきています。一方アップルも、これこそが自分たちの次の大きな仕事であると明確に打ち出してきていて、その周りでエコシステムを作るために全力を尽くすことと思います。例えば、ディズニー( $DIS )やユニティ( $U )のような企業と提携しながら、アプリやコンテンツを作るために開発者を自分たちのエコシステムに連れて来ようとしているのです。アップルの最大の強みは、実際のハードウェア、デバイス自体ではなく、すでにアップル製品向けにアプリを作ってくれている世界中の開発者たちが自分達のエコシステムの中にいることなのです。
もしあなたがマーク・ザッカーバーグだったら、どうするでしょうか?アップルがVision Proを発表した後、ザッカーバーグは社員との全社会議でこう語ったといいます。
"Appleは、我々のエンジニアや研究者がもはや追いかけてもない様なAR/VRハードウェア設計の問題にまだ取り組んでいて、それに対する革新的な解決策すらまだ持っていない。"
https://www.theverge.com/2023/6/8/23754239/mark-zuckerberg-meta-apple-vision-pro-headset
Metaは、メタバースに全てをかけて消費者がARやVRで使う次のプラットフォームを構築しようと、Facebookから「Meta」に社名を変更しました。しかしなぜ、人気のソーシャルアプリの運営だけで続けていくことができなかったのでしょうか。マーク・ザッカーバーグは、プラットフォームがなければ、「Facebook」(その他アプリ群含む)は常にモバイルOS(iOSとAndroid)を所有するAppleとGoogleの言いなりにならざるを得ないことをよく知っていたのです。Appleがプライバシー機能の変更で、アプリの利用状況などをトラッキングする機能に制限をかけ(ATT - App Tracking Transparency)、結果Metaに年間100億ドル以上の広告売上への影響を与えており、自分たちでプラットフォームを所有できなければ、行き詰まってしまうかもしれないのです。
https://www.forbes.com/sites/kateoflahertyuk/2022/04/23/apple-just-issued-stunning-12-billion-blow-to-facebook/
ところで、Facebookが2010年に自社製の携帯電話を作るという極秘プロジェクトに取り組んでいたことをご存知でしょうか。すぐにプロジェクトは中止されましたが、もし続けていたら、iOSやAndroidに対抗することができたのでしょうか?
https://techcrunch.com/2010/09/19/facebook-is-secretly-building-a-phone/amp/
いずれにしても、MetaはAppleと厳しい戦いを強いられることになりそうです。Metaはすでに、「Meta」バースの研究開発費が多すぎるということで大きなプレッシャーを受けており、マーク・ザッカーバーグが決算説明会でMetaverseの話をあまりせずに、伸びている”リール広告”とコスト削減の話をするようになって、株価が上昇し始めたという様な皮肉な状況です。研究開発にお金をかけられず、開発者のエコシステムもなく、モバイル/コンピューティングプラットフォームもないマークが、どうやってこの戦争を戦うことができるでしょうか。私は、マーク・ザッカーバーグが、既存のFacebookやInstagram、WhatsappのユーザーをAR/VR体験に結びつけ、ソーシャルメディアという形で、Appleにはないユニークなものを提供することができれば、それは唯一のチャンスになり得ると思います。もし、マーク・ザッカーバーグが既存のソーシャルグラフをAR/VRに取り込み、素晴らしいソーシャルメディア体験をするためにはクエストのヘッドセットが必要だとしたら、このヘッドセット戦争に勝つチャンスがあるかもしれませんね。
一方、アップルはどうでしょう。3500ドルという価格設定で、どうやってメインストリームに製品をアピールするのでしょうか。Meta Quest 3は499ドルから発売される予定なので、VR/AR体験を求める人にはより手頃な価格かもしれません。(ただ、アップルも廉価版を発売する予定にはしている模様。)もし、Appleがメインストリーム市場を狙うのであれば、月額課金制にしたり、デバイス内に広告を掲載したりするのも一つの手かもしれません。アップルは、初期費用を抑え、端末を低価格で販売し、将来的にはソフトウェアで収益化するためのクリエイティブな方法を考え出すことができるのではないでしょうか。
#みんなのトレード
Woodstock.clubアプリ上で、先週(6/5-6/11)売買された銘柄ランキングはこれだ!
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