Weekly Bites! 🍩 vol.21 | アップル城を囲む"堀"
目次
#みんなのトレード
#直近の決算
#CompanyUpdate
アプリの新バージョン1.1.27をリリースしました!
今回のリリースで新しくなった主な点は、以下の通りです。
1. 週間ランキングが見られるようになりました。評価損益、確定損益の 1 週間の変化順で表示しています。
2. 検索タブ右上のカレンダーアイコンから過去の企業決算情報を見られるようになりました。
3. 他の人のポートフォリオのバブルチャートがすぐに見られるようにデザイン変更しました。
4. UI/UX の改善を行いました。
5. いくつかのバグを修正しました。
#今週の気になるトピック | アップル城を囲む"堀"
3兆ドル企業アップル誕生。4兆ドル企業に向けて”堀”はあるのか
Weekly Bites Vol.21へようこそ!著者のブライアン・ユンです。今週の気になるトピックは、アップル城を囲む"堀"についてです!
始める前に、念の為ですが、私たちの配信しているコンテンツは投資のアドバイスではなく、ここで述べることはすべて筆者ブライアンユンの個人的な意見と調査に基づいており、Woodstockの見解を代表するものでもありません。個人的にポジションを保有している可能性もあります。WeeklyBites!に掲載されている内容は、あくまで情報提供のみを目的としていますのでその点ご理解ください。
アップル(AAPL)の株価は先週金曜に193.97ドルで取引を終え、時価総額は3兆400億ドルに達しました。終値ベースで3兆ドルを超えた企業は、世界で初めてです。Woodstockdでの$AAPLのオーナーの皆さん、おめでとうございます!
アップルのこの先は一体どうなっていくのでしょうか?この会社は3兆ドルを超えてまだ成長し続けることができるのでしょうか。このエピソードでは、アップルの持つ、「MOAT(堀)」と4兆ドル企業への道筋についてお話しします。
まず、”堀”って一体なんでしょうか?ご存知の通り、堀とは、お城の周りをとり囲む深い溝のことで、通常は水で満たされています。東京の皇居にも堀がありますよね(画像参照)。ウォーレン・バフェットは、堅固な競争優位性を持って参入障壁を築いているビジネスを、お城の例えを用いて、”堀”という言葉で言い表し、その言葉を経済の文脈で広めました。経済の文脈でいう堀とは、競合他社が生き抜いていくのを困難にするような、ビジネス上の特徴を持っていることを表しているのです。
アップルのブランド、忠実でロイヤリティの高い顧客、リピート購入や高いスイッチング・コストを促す製品やサービスのエコシステム。これらすべてのお陰でアップルは深い深い堀を築く事ができているのです。世界一の投資家と言われる、ウォーレン・バフェット氏が保有するアップル株は、バークシャー(バフェットがCEOを務める投資会社)の3,700億ドルもの株式ポートフォリオのうち、約半分を占めており、つまりバフェットは、アップルを取り巻く堀はとても深く広く、その結果競合他社はアップルの城には近づくことさえできないと考えていると捉えても良いかもしれません。
Woodstockでは、アンドロイドとiPhoneの両方のユーザーにサービスを提供するために、アプリの開発を行なっているのですが、アプリに変更を加えるたびに、GoogleとAppleの承認を得て、利用者である皆様にその変更をお届けする必要があります。弊社と同様に、すべてのアプリ開発者は彼らのポリシーとガイドラインを遵守しなければならず、そうしないとアプリを顧客に配信することさえできないのです。私たちの場合も、利用者のうちの大半はiPhoneを使ってらっしゃるので、文字通りアップルが承認してくれるかどうかに翻弄されながらリリースをしています。(ご存知ない方のために補足すると、先週末アプリの新しいリリースがあったのですが、アップルの承認がなかなか下りずに、iPhone利用者の皆様への新アプリの配信をお待たせすることになってしまったのです。)
アップルのVision Proに関する以前のエピソードでは、Meta社が既存のモバイルプラットフォーム上でソーシャルアプリを運営するだけではなく、VRのプラットフォームを勝ち取ろうと莫大な資金を費やしている理由について簡単にお話ししました。Meta社がどんなに大きな会社になろうとも、マーク・ザッカーバーグもまた、Woodstockが抱えているのと同じような課題を抱えているのです。つまり、アプリケーション(Meta社でいうとFacebookやInstagram)はルールを定義するプラットフォームの決定に翻弄されることになります。マーク・ザッカーバーグとてアップルのルールに従う形でアプリ運営を行なっているわけです。その上、アップルとグーグルは、スマートフォン市場を独占し、新規参入を不可能にしています。これは、単に携帯電話やOSを作ればそこに参入できるという話ではなく、そのエコシステムの中で運営されるアプリを開発する開発者をも巻き込んで参入しなければならないからなのです。
アップルの "堀 "に話を戻しましょう。アップルの "堀 "は、ブランド、顧客ロイヤルティ、スイッチング・コスト(別プラットフォームに乗り換える大変さ)について大きな堀を持っているばかりか、ハードウェアとオペレーティング・システム、そしてプラットフォームを開発者エコシステムの垂直統合している点についても競合優位性を持っているのです。これらすべてが、アップルの3兆ドルという驚異的な評価額を生み出し、そしてそれを正しいもの、つまりは世の中のスタンダードにしているのです。アップルの売上と利益がどこから生まれているのか、一度見てみましょう。
アップルの最新の決算(23年3月期、第2四半期)からもわかるように、iPhone(前年同期比2%増)はアップルの総売上高(前年同期比3%減)の50%以上を占めています。しかしながら、このアップル最大のプロダクト、iPhoneはわずか+2%の成長率にとどまっており、もしあなたがアップルに投資するのであれば、新しいAR/VRヘッドセットである「Vision Pro」を信じなければならないということになりますし、もしそうでなければ、3兆ドルの時価総額や株価の上昇をこれ以上正当化するのはとても難しいということになります。
Weekly Bites!Vol.18では、アップルが発表したVision Proについて取り上げましたが、3499ドル(日本円で約50万円)もするデバイスを動かすチップやオペレーティング・システムについてはあまり詳しく触れて来ませんでした。むしろ、その時は、カリスマ的なアップルらしいいつものアナウンス("one more thing")と、もしVision Proが標準的なAR/VRプラットフォームとなり、再び開発者のエコシステムの中心となった場合に、これがMETAにとって何を意味するかについてお話をしました。確かにそれは重要なポイントではあったと思いますが、実はそれ以上にまだ詳しく知っておくべきことがたくさんあり、それらこそがアップルが次に4兆ドル企業になるための鍵になっていくと思っています。
まず、そもそもAR/VR市場自体まだ新しく、これが最終的に日々の仕事や生活必需品の一部として社会全体に受け入れられるのか、そこはまだ分からないのです。分かっているのは、これまでVRデバイスを試した人のほとんどが乗り物酔いのような感じで、頭痛や吐き気を催したということで、これこそが、VRがここまであまり広く成功しなかった大きな理由の一つとなっています。大衆に受け入れられるためには、兎にも角にもこの問題を解決しなければなりません。アップルはこの難題を解決できるのでしょうか。
実は、アップルのVision Proは、この乗り物酔いの問題を解決することをすでに約束しています。アップルの技術開発グループ担当副社長であるマイク・ロックウェル氏は、WWDCの中でこれを実現する方法を説明していて、個人的には彼らのプレゼンテーションのハイライトであったと思っています。プレゼンの中で、他の頭部装着型のシステムでは、センサーとディスプレイ間での遅延が動きの不快感の一因となっているが、Appleの新しいR1チップは、12ミリ秒以内に新しい画像をディスプレイにストリーミングすることが可能であり、この遅延が原因での不快感は解消されると説明しています。
参考 (1:51:00 - 1:52:00)
このアップルの取り組みはとても良いと思いますが、しかしメタ社のような他の企業も、12ミリ秒以内に画像を処理するセンサーやカメラ、ビデオチップを果たして開発できるのでしょうか?もしくは、これこそがアップルにとっての堀となりうるのでしょうか。
メタのマーク・ザッカーバーグは、アップルは未だMetaがもはや探求もしていないような技術を売りにしていて、今回も大きな技術的な発表はなかったと言っています。果たしてこれは本当にそうなんでしょうか。価格帯が3499ドル程度の前提で、Metaも同じことができるのでしょうか。
The Vergeによると、
"Meta内の従業員との全社ミーティングにおいては、CEO自ら、AppleのデバイスはMetaが "すでに探求していない "技術においても、大きなブレークスルーを提示しておらず、このデバイスをどのように使われるようになるのかについてのビジョンについても "私が望むものではない "と述べた。”
https://www.theverge.com/2023/6/8/23754239/mark-zuckerberg-meta-apple-vision-pro-headset
アップルのVision Proの価値提案は、仕事であれエンターテインメントであれ、見ているものが何でも高精細になると同時に、センサーやカメラとの深い統合と周囲の情報の高速処理により、まるですべてが目の前で起こっているように感じられるという点にあります。ただ、もはや、これだけだととても当たり前のことのようで、そうでないことを想像する方が難しいのも事実です。そこで、アップルはVision Proをデュアルチップによる画期的なイノベーションと呼び、そこでは、MacBookで使用されているM2があなたが見る画面の処理を支え、R1(新チップ)があなたの周りの情報の処理を担うと説明しています。
「これらの画期的なイノベーションは、ユニークなデュアルチップ設計のアップル製シリコンによってささえられています。そこでは、M2は比類のないスタンドアロン性能を発揮し、まったく新しいR1チップは12台のカメラ、5つのセンサー、6つのマイクからの入力を処理することで、コンテンツがユーザーの目の前にリアルタイムで現れるような感覚を実現します。R1は、瞬きの8倍の速さである12ミリ秒以内に新しい画像をディスプレイにストリーミングするのです。」
https://www.apple.com/newsroom/2023/06/introducing-apple-vision-pro/
VR/AR市場がスマートフォン市場のように大きくなって、誰もが自宅や職場、旅行先でスマートフォンを身につけるようになったとしましょう。アップルのこの新しいデバイスによる堀は、実際にはスマートフォンよりも深いものに、つまり、より競合が参入できないくらい深い堀になると思っています。その理由を考えてみましょう。
まずハードウェア。アップルはここしばらくの間、独自のチップを設計してきました。メガネに搭載されるM2チップは、彼らが2020年からMacコンピュータに(インテルからの切り替えで)使用しているMシリーズチップです。アップルはもはやこのチップの生産において、半導体メーカーであるTSMCの最大の顧客であり、TSMCの総売上の約4分の1をも占めています。アップルはチップ業界においても巨人であり、巨大な交渉力と規模の経済を持っているのです
第二に、OSです。アップルの新しいビジョンOSは、このデバイスにとって非常に重要な部分となります。Vision OSは「リアルタイム・オペレーティング・システム」(RTOS)であり、各々のタスクに関連する優先度を理解し、もし優先度の高いタスクがあった場合には、優先度の低いタスクに割り込んで処理することができるのです。つまりこれが意味するのは、現実世界で何か重要なことがセンサーやカメラを通してR1チップによって検出されたとき、M1チップが現在実行しているタスク(例えば、あなたが現在見ているゲーム画面や映画)に割り込んで、優先して処理されるということなのです。たとえゲームがクラッシュしても、Vision Proはあなたの周りで起こっている情報の処理に失敗することはありません。その重要性についておわかりいただけたかと思います。アップルは、チップもオペレーティングシステムもすべて所有しているため、この非常に重要な体験を完全にコントロールすることができるのです。
第三に、アプリケーション(アプリ)。アップルはすでに世界中のデベロッパー、開発者にオペレーティングシステム用のアプリケーションを作ってもらっています。もちろん、すべてのアプリケーションがVision OSに適しているわけではありませんが、開発者はすでに利用可能な開発スタックを活用し、今このデバイスを装着している顧客にアプローチすることができるのです。
最後に、ユーザー、利用者の皆さんです。アップルは、ユーザーエクスペリエンスに関しては、誰もが認めるリーダーです。これについては、これ以上説明する必要はないですよね!
もちろん、AR/VRが日々の仕事や生活の中で実際に役に立つものになるのかどうか、という点については未だ大きな疑問符がついています。もしこのデバイスが私たちの生活の重要な一部となっていくなら、アップルの堀はますます広がり、強いものになっていくでしょう。他の会社がこの競争に近づくことができるのかを考えると、まだまだ難しそうに感じます。
今日のエピソードは以上です。今日の内容が気に入ったら、いいね!や返信をぜひ!毎週これを書くモチベーションの維持にとても役に立つのです(笑)🙂
#みんなのトレード
Woodstock.clubアプリ上で、先週(6/26-7/2)売買された銘柄ランキングはこれだ!
#直近の決算
ここではwoodstock.clubで取り上げたいくつかの決算のまとめについて改めて、ご紹介しておきます。(BEAT!は、決算が予想よりもよかった時、MISS...は予想より悪かった時、INLINEは予想通りだった時をそれぞれ意味しています。)
NKE 0.00%↑ Beat/Miss
https://twitter.com/woodstockclub/status/1674528125382979584